AmazonがIoT標準のMatterをベースに動画をストリーミングできるオープンプロトコル「Matter Casting」を発表

Amazonが、スマートフォンのアプリからAmazonのFire TVやスマートディスプレイにコンテンツを表示するための標準規格「Matter Casting」を導入すると、2024年1月9日～12日にラスベガスで開催されている家電見本市・CES 2024で発表しました。

CES 2024: 7 key announcements from Amazon
https://www.aboutamazon.com/news/devices/amazon-ces-2024-announcements

Amazon bringing 'Matter Casting' to Fire TV and smart displays
https://9to5google.com/2024/01/09/amazon-fire-tv-matter-casting/

Matter Castingとは、IoT(モノのインターネット)のための標準規格「Matter」に基づいて構築されています。Matterがどういうものなのかについては、以下の記事で解説しています。

IoT用の新規格「Matter1.0」が始動しネット接続がダウンした状態での利用などが実現、Googleは早速Matterサポートを含む新製品を発表 - GIGAZINE

MatterはGoogleやApple、Amazonらが参加するIoT標準団体によって策定されました。Amazonは2022年11月からMatterに対応した自社製品を発表しています。

Amazon Echoがついにスマートホーム用標準規格「Matter」対応へ - GIGAZINE

Matter Castingは、iOSおよびAndroidでサポートされているストリーミングアプリから直接Fire TVやEcho Show 15などのスマートディスプレイにコンテンツをキャストできるようにする機能です。GoogleのChromecastやAppleのAirPlayでのストリーミングは特定のハードウェアやOSに限定されますが、Matter CastingはオープンプロトコルなのでAmazon以外のアプリやハードウェアでも実装可能。個人用デバイスのアプリとキャスト先のアプリでMatter Castingが有効になっていれば、簡単にスマートフォン内のコンテンツをスマートテレビなどにストリーミングできるようになります。

記事作成時点では、Matter Castingの実例は「AmazonプライムビデオのコンテンツをEcho Show 15にキャストする」のみとのこと。ただし、将来的にはFire TVを内蔵するスマートTVや他のFire TVデバイスにも対応するそうです。さらにAmazonは、Amazonプライムビデオだけではなく、Plex、Pluto TV、Sling TV、STARZ、ZDFなどのアプリとも協力し、2024年後半にMatter Castingのサポートを追加する予定だとしています。

また、Amazonはパナソニックとの提携を発表し、パナソニック製のスマートテレビにFire TVが内蔵されるようになることを明らかにしました。パナソニックが発表したフラッグシップモデルの有機ELスマートテレビのZ95AとZ93Aでは、Amazon Alexaを使ってアプリの起動、音楽の再生、タイトルの検索ができるようになるとのこと。

そして、AmazonはCES 2024で、AIについてもさまざまな発表を行っています。

Amazonは、開発者が生成AIを使ってAlexaとの会話をより簡単かつ迅速に構築できるようにする新しいツールを導入したと発表。また、電機メーカーのシーメンスとのパートナーシップを強化し、シーメンスが提供するアプリ開発ツールに生成AIを導入することを明らかにしました。

さらに、Amazonは自動車メーカーのBMWと提携し、大規模言語モデル(LLM)を応用したアシスタントをBMWの車に組み込む計画を発表しました。このアシスタント機能によって、車のシステムや新しい機能についてアシスタントから説明を受けることが可能になります。

BMW | Alexa Innovators | Build with Alexa - YouTube

加えて、Amazonが開発する自動運転車「Zoox」の新モデルが会場で展示されました。CES 2024の会場ではZooxを一足先に利用できる順番待ちリストの受付も行われているとのことです。