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現代人はテクノロジーに時間を奪われている、どうすればゆったりした時間を取り戻すことができるのか?


テクノロジーは人間の生活を楽にするために生み出されたはずですが、スマートフォンやPC、インターネットなどを使えるようになったにもかかわらず、のんびり過ごす時間がほとんどないという人も多いはず。なぜテクノロジーが発達したにもかかわらず現代人は時間がないのか、時間を取り戻すにはどうしたらいいのかについて、イギリスのリヴァプール・ジョン・ムーア大学で心理学教授を務めるルース・オグデン氏らが解説しています。

Technology is stealing your time in ways you may not realise – here’s what you can do about it
https://theconversation.com/technology-is-stealing-your-time-in-ways-you-may-not-realise-heres-what-you-can-do-about-it-216863


テクノロジーが発達したにもかかわらず自由な時間が減っているという現象について、オグデン氏らは「デジタルテクノロジーは時間の節約に役立つかもしれませんが、その時間でますます多くのタスクをこなすようになっているという証拠が増えています」と指摘しています。

オグデン氏らは、ヨーロッパに住む300人を対象にインタビューを行い、日常生活でデジタルデバイスをどのように使っているのかを調査したとのこと。その結果、人々は人生に「空白の時間」を作るのを避けるために暇な時間にも何らかのタスクを詰め込んでおり、一部のタスクはテクノロジーなしでは実行できないことがわかったそうです。

たとえば、かつてはぼーっと過ごすだけだった「バスを待つ時間」「朝起きてすぐの空き時間」「夜にベッドで横になった時間」などが、現代では脳トレやゲームアプリ、SNSのチェック、動画視聴、ToDoリストの作成などに費やされています。そのため、人々が思い浮かべる「何もせずにぼーっとする時間」がなくなっているというわけです。


現代社会においてデジタルなタスクが増加した理由のひとつには、現代人がインターネットで見た「完璧な生活」に近づきたいと思っていることが挙げられます。もともと、人々は「夕ご飯を食べる」「テレビを見る」「エクササイズをする」といった生活に満足を感じていましたが、現代人はもはやこれらの活動では満足できず、時間を無駄にしないためにタスクを詰め込む傾向にあります。

テクノロジーはさまざまなタスクを短時間でこなすことを可能にしました。たとえば、オンラインバンキングで仕事の昼休みに銀行へ行かなくても送金や振込が可能になり、理論的にはより多くの時間が確保できるはずですが、これらの細かいデジタルタスクや暇つぶしがこれでもかと詰め込まれた結果、現代人はかつてないほど生活の密度が高くなっています。


また、暇な時間にSNSや動画配信サイトをチェックする人は多いはずですが、オグデン氏らの調査によると、人々は自由時間をオンラインでの活動に費やすと罪悪感や後悔を感じることが多いことがわかったそうです。これは、依然として人々がオンラインよりもリアルの活動に価値を見いだしていることを示唆しているとのこと。

テクノロジーの発達による仕事の変化も、現代人の余暇が減る一因となっています。たとえば、メールやビデオ会議などが普及したことで在宅勤務が増えた結果、仕事とプライベートの境目が曖昧になったという人は多いはず。仕事場所がオフィスから自宅に変わった結果、「子どもを寝かしつけてから仕事をしよう」といった働き方が可能となってしまい、ゆっくりする時間が奪われてしまう危険があります。

メールやビデオ会議が普及する前は、お互いに顔を合わせて会話をするか、手紙の返事が来るまで待つのが当たり前でした。しかし、現代ではPCやスマホがあればどこでも仕事のやり取りが可能になっており、ひっきりなしに応答するべき要件が舞い込んできます。また、設計が不十分なテクノロジーが導入されたことで、逆に手間が増えるというパターンもあるとオグデン氏らは指摘しました。このように仕事の手間が増えた結果、プレッシャーが高まってストレスや疲労が悪化したり、時には燃え尽き症候群になったりする危険性もあるとのこと。


オグデン氏らは、現代人がテクノロジーに奪われた時間を取り戻すには、根本的に時間の配分を変える必要があるかもしれないと考えています。隙間時間にどんどんタスクを詰め込む習慣から抜け出す上で何よりも重要なのは、「何もしない時間があっても大丈夫」であると受け入れることです。

雇用主が従業員に対して「常にスマホやPCで連絡を取れる状態」を求めず、連絡が取れないのが当たり前だという職場環境を作ることも重要です。近年では、勤務時間外に職場からの連絡を拒否する「つながらない権利」を認める動きが、フランスやイタリアなどのヨーロッパ諸国で推進されています。

勤務時間外にデジタル機器をオフにして仕事の連絡を拒否する「つながらない権利」がヨーロッパで推進される - GIGAZINE


また、時間を奪ったテクノロジーそのものが、人々の時間を取り戻す鍵を握っている可能性もあります。もし、スマートウォッチが「長いこと座っているから立ち上がって動き回るように」と指示して新たなタスクを詰め込むのではなく、「業務時間が終わったので仕事をやめましょう」と休憩を促すようになれば、人々の生活は大きく変わる可能性があるとオグデン氏らは主張しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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