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AIは特許の発明者とは認められないとイギリス最高裁が結論


人工知能(AI)は特許権を有する発明者として法的に名乗ることはできない、とイギリス最高裁判所が判決を下しました。最高裁は「現行法の下で特許を申請するには、発明者は人でなければならない」との見解を示しています。

Thaler (Appellant) v Comptroller-General of Patents, Designs and Trade Marks (Respondent) - uksc-2021-0201-judgment.pdf
(PDFファイル)https://www.supremecourt.uk/cases/docs/uksc-2021-0201-judgment.pdf

AI cannot be named as patent ‘inventor’, UK supreme court rules | Artificial intelligence (AI) | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2023/dec/20/ai-cannot-be-named-as-patent-inventor-uk-supreme-court-rules

AI cannot be patent 'inventor', UK Supreme Court rules in landmark case | Reuters
https://www.reuters.com/technology/ai-cannot-be-patent-inventor-uk-supreme-court-rules-landmark-case-2023-12-20/

今回の裁判では、技術者のスティーブン・ターラー氏が自身の開発したAIを特許の発明者として記載しようとしたことが争点となりました。特許出願を受け付けるイギリス知的財産庁がAIの記載を認めなかったためターラー氏は起訴しましたが、2020年に高等裁判所で棄却され、翌年控訴裁判所でも同様の判決が下された上で、最高裁判所まで持ち越されることになりました。

最高裁判所での審理においては、AIが実際に発明を生み出したかどうかは争点とならず、特許出願時にAIの記載が認められるか否かが主に議論されました。


イギリスでは1977年の特許法に基づいて出願のルールが定められています。ターラー氏の弁護団は「特許法は人間以外の発明者が存在する可能性を否定しておらず、AIも発明者として認められるべきだ」と主張。

しかし、最高裁判事は全会一致でこれを退け、発明者は自然人でなければならないと結論づけました。デビッド・キチン判事は判決文の中で「機械を創造者とみなす法律は存在しない」と指摘しています。


ターラー氏は、自身がAIの所有者であるため、AIの発明について特許を出願する権利があるとも主張していました。しかし、AIはあくまで機械であり、法的人格を持たず、このような存在が特許を出願するための権利も存在しないことから、この主張も退けられています。

ターラー氏の弁護士は声明で「イギリスの特許法はAIによって自律的に生み出される発明を保護するには全く適しておらず、結果として、AIに依存する産業を支援するには全く不十分であることが立証された」と述べました。


一方で知的財産庁はAIの特許取得に関連する法律について議論することを歓迎し、政府は同分野の法律を引き続き検討していくつもりだとも付け加えています。

法律専門家は今回の判決について、「AIは現状ツールに過ぎず、今回の判決は妥当です。中期的には状況が変わると予想していますが、法としては正しい決定が下されました」「AIを発明に使えないというわけではないと思います。もしAIを使う場合、使った人自身が発明者だと認められれば、特許を申請することは可能でしょう」とコメントしました。

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in ソフトウェア, Posted by log1p_kr

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