サイエンス

「AIは特許申請時の発明者として登録できない」とアメリカ特許商標庁が公式見解を発表


アメリカ合衆国特許商標庁(USPTO)が「AIは特許出願の際に発明者として登録できない」「発明者になれるのは自然人に限られる」と公式に発表しました。

Petition decision: Inventorship limited to natural persons
https://content.govdelivery.com/accounts/USPTO/bulletins/287fdc9


Artificial Intelligence Cannot Be Inventors, US Patent Office Rules - VICE
https://www.vice.com/en_us/article/akw5g4/artificial-intelligence-cannot-be-inventors-us-patent-office-rules

USPTOが今回の発表を行ったのは、2019年に「AIが発明した特許」が申請されたため。物理学者でAI研究者でもあるスティーブン・セイラー氏が、自身の開発したAIシステムDABUSを活用して、「形状が変形する食品容器」に関する技術と「非常用懐中電灯」に関する技術を発明。セイラー氏はこれらの発明を特許出願する際に、DABUSを発明者として申請を行いました。

従来のアメリカの特許法において「AIが発明者」になるケースは想定されておらず、「発明者として資格を持つのは『個人』に限られる」という条項があるのみでした。セイラー氏と特許法の専門家グループは、「セイラー氏自身は食品容器や懐中電灯に関する専門知識を有しておらず、出願した技術はあくまでDABUSが開発したものであり、セイラー氏が発明者として登録されてしまうのはおかしい」という論理を展開しました。

この主張について、イギリスのサリー大学でAI特許に関する法律専門家グループを率いるライアン・アボット氏は、「私が博士課程の学生を教え、その学生が発明を行ったとしたら、私は発明者とはなりません。この論理と同様に、AIの開発者が発明者として登録されるべきではありません」とセイラー氏らの主張に賛同していました。


しかし、イギリスにおいては「非自然人の発明を禁止する特許法」の下でDABUSの特許は棄却。アメリカもイギリスの見解に追従する形で、「特許出願において発明者となる資格を有するのは自然人に限られる」と発表しました。

今回の一件を報じた海外ニュースメディアMotherboardは、「サルの自撮り」にまつわる著作権論争と今回のDEBUSにまつわる論争が、「人間以外の権利」について疑問を投げかけていると報じています。


「サルの自撮り」の著作権の帰属に関する論争については、以下の記事で詳しく読むことができます。

著作権が問われた「サルの自撮り」の法廷闘争がついに完全終結 - GIGAZINE

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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