「ソニック3Dブラスト」はなぜメガドライブ本体をチョップするとステージ選択画面が出るのか?
1996年に北米・ヨーロッパのメガドライブ(ジェネシス)向けに発売されたアクションゲーム「ソニック3Dブラスト」には、プレイ中に本体をチョップするとステージ選択画面が表示されるという裏技があります。なぜこんな裏技が実装されているのかについて、さまざまなゲームの裏技やプログラムについてまとめるYouTubeチャンネル・Coding Secretsが解説しています。
Why does PUNCHING Sonic 3D trigger a Secret Level Select? - YouTube
「ソニック3Dブラスト」は、2Dスクロールアクションだった従来のソニックシリーズと異なり、斜め俯瞰(ふかん)型のクォータービュー3Dアクションとなっています。日本では「ソニック3D フリッキーアイランド」というタイトルで、セガサターン向けソフトとして1999年に発売されました。
「ソニック3Dブラスト」をプレイ中にゲーム機本体をたたくと、画面が一瞬真っ黒になります。
しかし、すぐに画面が戻り、「おめでとう!秘密のステージ選択画面を発見しました」というメッセージが表示されました。
この不思議な裏技が生まれるきっかけになったのは、北米版メガドライブであるジェネシス向けソフトに貼られていた「シールオブクオリティ」という品質保持を示すライセンスマークでした。
このライセンスは、セガによる厳しいチェックをクリアして公式に承認されたことを示すもので、認証申請とテストには何週間もかかり、もし途中で問題が発生したら最初の段階からやり直さなければならなかったそうです。
そして、テスト中にエラーが発生した場合はレポートと共に開発側に返送されましたが、ゲーム自体がクラッシュした場合は原因不明というエラーレポートが添えられていたため、再現に苦労することが多かったそう。そこで、デバッグモードでプレイ中に発生するエラーについては、対応するエラー画面を表示するように設計されていたそうです。
以下のように、スプライトの表示が多すぎた場合やファイルの解凍に失敗した場合など、それぞれに対応したエラーメッセージが表示される仕組み。
しかし、1994年に発売された「ミッキーマニア」ではシールオブクオリティの認証チェックに出す際に、エラーメッセージではなく、「ミッキーは秘密のボーナスステージにつながるタイムワープを発見した!」と表示されるようにプログラミングされました。こうすることで、チェック中にエラーが発生しても、エラーではなくユーザー向けに隠された仕様であると見せかけられるというのがポイント。そして実際にそのままタイムワープ画面からステージを選択すると、新しくステージが始まるので、エラーの原因も消えてしまうというわけです。
厳しいチェックの目を逃れるためにプログラマーが組んだ苦肉の策は見事に功を奏し、他の作品でも使われるようになりました。
「ソニック3Dブラスト」でステージ選択画面が表示されるのはこういう事情がありました。「ソニック3Dブラスト」では、ゲームのプログラムを処理する中で特定の条件下で割り込みが発生した場合など、ゲームの進行を妨げるような何かが発生した時はステージセレクト画面が表示されるようになっています。
そのため、本体をチョップするとカセットカートリッジと本体の接続を一時的にロストさせることでエラーが発生しステージセレクト画面が表示されるというわけです。この現象は2017年頃にインターネットで話題となり、開発者だったジョン・バートン氏自身がその仕組みを告白したことで明らかとなりました。
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