25万9533台のHDDを運用するBackblazeがモデル別故障率まとめ2023年Q3版を公開
クラウドストレージ企業のBackblazeが2023年第3四半期(7月~9月)に運用した25万9533台のHDDのモデル別故障率を発表しました。今回、データセンター別のドライブ故障率が初めて明らかになっています。
Backblaze Drive Stats for Q3 2023
https://www.backblaze.com/blog/backblaze-drive-stats-for-q3-2023/
◆年間故障率
以下の表は2023年第3四半期におけるモデル別の年間故障率を示したものです。左から順に「MFG(メーカー)」「Model(モデル)」「Drive Size(容量)」「Drive Count(運用台数)」「Avg.Age(平均運用月数)」「Drive Days(合計稼働日数)」「Drive Failures(故障台数)」「AFR(四半期ごとの年間故障率)」が記載されています。
故障率0%だったモデルは全部で6つですが、設置から計測日まで一日しか経過していないWDCの「WUH722222ALE6L4」などの例外を除き、統計的に有意な値が得られたのはSeagateの6TBモデル「ST6000DX000」のみ。運用台数は883台、平均運用月数は101.1カ月でした。
期間中の故障台数が1つのみだったのは全部で4モデル。そのうち統計的に有意な値が得られたのは、WDCの16TBモデル「WUH721816ALE6L0」(AFR0.15%)と東芝の14TBモデル「MG07ACA14TEY」(AFR0.63%)でした。
なお、AFRはあくまで四半期ごとの値に基づいた結果であり、四半期ごとに結果が変動する可能性があるとBackblazeは付け加えています。参考までに2023年第2四半期(4月~6月)の結果が以下で、ST6000DX000はこの期間中3台故障し、AFRは1.36%に達していました。
◆前四半期とのAFRの比較
2023年第3四半期の全ドライブのAFRは1.47%で、これは第2四半期の2.2%から低下し、前年同期比の1.65%からも低下していますが、四半期ごとのAFRは変動することがよくあるそうです。第2四半期のレポートでは「ドライブ全体の老朽化」によるAFR上昇の可能性が指摘されていましたが、今回の結果により老朽化説は否定されることとなりました。
NASAの研究者が「2023年が観測史上最も暑い年になるのはほぼ確実」と指摘しているように、2023年は比較的暑い日々が続きました。夏場に当たる第3四半期の結果にも気温が少なからず影響していて、合計354台のドライブが少なくとも1日間、製造元が規定する最高温度を超えた状態にあったそうです。ただし、このうち故障したドライブは2台のみだけで、この2台は今回の統計から除外されています。
◆データセンター別故障率
Backblazeは複数のデータセンターを管理しており、データセンター別の故障率も公開しています。
sac0(サクラメント)はすべてのデータセンターの中で最もAFRが高いですが、最も古いドライブを搭載している点に留意するべきとのこと。ドライブのモデルが古くなると、一般的に故障が多くなります。iad(アッシュバーン)は開設後間もないデータセンターで運用月数もまだ少なめ。データセンター別の統計を示すのは今期が初となるため、Backblazeは同データを今後も追跡し、何らかの洞察を得ることを期待しています。
◆生涯故障率
HDDを耐用年数まで使い切ったときにどれほどの故障が発生するのかを示した表が以下。最重要視されるべき列は「Confidence Interval(95%信頼区間)」で、この値が低いほど、AFRの信頼性が高いことを意味しています。特に信頼区間は0.5%以下が望ましく、それ以上の場合はデータが少ないか一貫していないことを意味します。
以下の表は信頼区間が0.5%以下のモデルのみを示したもの。例えば先述の「ST6000DX000」のAFRは0.88%となっています。
なお、SSDの故障率統計は以下の記事で確認できます。
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