Netflixが動画コーデック「H.265(HEVC)」の使用を中止するよう裁判所から命じられる
映像ストリーミングサービス・Netflixが、半導体メーカー・Broadcomによる特許侵害訴訟で敗訴し、動画コーデック・H.265(HEVC)の使用を中止するよう命じられました。
Netflix Loses Another Ruling in German HEVC Patent Dispute With Broadcom | Next TV
https://www.nexttv.com/news/netflix-loses-another-ruling-in-german-hevc-patent-dispute-with-broadcom
NetflixとBroadcomは2018年からH.265(HEVC)に関する特許を巡り法廷闘争を続けており、ドイツだけでなくアメリカおよびオランダでも訴訟を繰り広げてきました。HEVCは、Advanced Videocoding(AVC:H.264)よりも最大50%も効率が高い動画コーデックで、2018年時点で動画開発者の42%がHEVCを利用しているというデータもあります。
ドイツのミュンヘン裁判所は2023年9月の判決で、Broadcomが保有するHEVCに関する特許(EP 2 575 366)が有効であるという判決を下しました。「EP 2 575 366」はHEVCの動画コーデックにおける主要な機能をカバーする特許です。判決では、Netflixは4K解像度の動画をストリーミングする際にHEVCの使用を停止するよう命じられています。
Achtung, Baby: Netflix Loses Patent Dispute to Broadcom in Germany, Ordered to Stop Using HEVC to Stream 4K | Next TV
https://www.nexttv.com/news/achtung-baby-netflix-loses-patent-dispute-to-broadcom-in-germany-told-to-stop-using-hevc-to-stream-4k
しかし、Netflixがミュンヘン裁判所の差し止め命令に従わなかったため、Broadcomはドイツの連邦特許裁判所に裁定を求めました。この訴訟で、連邦特許裁判所はBroadcomの「EP 2 575 366」が有効であるという予備判決を下しています。
Broadcomは連邦特許裁判所の判決について、「ドイツ民事訴訟法第890条では、差し止め命令に違反した場合の罰則には2つあります」と声明を出しました。以下の罰則のいずれかが適用されるとしています。
1:Netflixがドイツの加入者に対してHEVCを利用した動画ストリーミングを送信するたびに、最大25万ユーロ(約4000万円)の罰金
2:新会社の取締役会メンバーに最大6カ月の懲役刑
なお、ドイツ連邦特許裁判所は口頭弁論を経て、2024年7月18日に訴訟の最終判決を下す予定です。
ドイツはNetflixにとってヨーロッパ・中東・アフリカを含む地域において、イギリスに次ぐ2番目に大きな市場で、Statistaによると2021年時点で有料会員数が1000万人を超えていました。
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