素早く立ち上がった時に立ちくらみをしてしまうのはなぜか?
椅子から立ち上がった直後にバランス感覚を崩すと同時に目の前が一瞬暗くなったような感覚に陥る、いわゆる「立ちくらみ」に遭遇したことがあるという人は多いはず。この立ちくらみはどういうメカニズムで生じるのかについて、科学系ニュースサイトのLive Scienceが解説しています。
Why do you get dizzy if you stand up too fast? | Live Science
https://www.livescience.com/health/heart-circulation/why-do-you-get-dizzy-if-you-stand-up-too-fast
立ちくらみは、起立性低血圧あるいは体位性低血圧と呼ばれ、体位が急激に変化することによって起こります。座っている状態から突然立ち上がるなど、体位が突然変化すると、脳に十分な血液と酸素が供給されなくなり、同時に光を感知する網膜への酸素供給も低下します。網膜で酸素が欠乏すると、一時的な視力障害につながります。
突然立ち上がると、およそ300~800mlの血液が下半身に引っ張られ、血圧が一時的に下がるとのこと。血圧が急激に低下すると、圧力に敏感な神経受容体によって検知され、血管が収縮し、下半身の筋肉は収縮し、心拍数が増加します。これら血圧を安定させるシステムは、心拍数や呼吸、消化といった不随意な身体機能を調整する自律神経系が制御しており、通常は健康に大きな影響を及ぼすことはありません。
しかし、脱水症状を起こしていたり、重い病気にかかっていたりする場合、血圧の低下レベルがより大きくなり、安定するのに時間がかかってしまいます。また、一部の降圧薬を服用している場合も、血圧低下によるめまいを起こしやすくなります。他にも、朝起きてすぐは血圧が低下しているので、ベッドから起き上がると立ちくらみしやすいという人もいます。
アメリカの国立神経疾患・脳卒中研究所は、起立性低血圧を一次性・二次性の2つに分類しています。一次性は神経損傷などによる自律神経系の損傷が原因となります。二次性は心拍数の低下、低血糖、甲状腺の状態などによって引き起こされるもので、二次性の方が一次性よりも比較的よくあるケースといえます。
また、加齢も起立性低血圧の原因の1つになります。加齢によって首や心臓の血圧センサーが反応しにくくなり、心臓の調節が難しくなってしまうわけです。そのため、65歳以上の人は立ちくらみに遭遇しやすくなってしまうというわけです。
なお、立ちくらみが頻繁に起こったりその状態が長時間続いたりする場合は健康状態が悪化している可能性があるとハーバード大学医学部のスティーブン・ジェラシェック准教授は述べており、立ちくらみの症状が起立後から3分以上持続する場合は問題だと指摘しています。
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