公式サポートが終了した古いMacに最新のmacOSをインストールするプロジェクト「OpenCore Legacy Patcher」が「2008年のMacにmacOS Sonomaをインストールする」バージョン1.0.0を公開

エンジニアのミコラ・グリマリョク氏によって開発が進められるオープンソースのプロジェクト「OpenCore Legacy Patcher」(OCLP)は、Appleが提供する最新のmacOSを、サポートが終了した古いMacでも動作させることを目的としたプロジェクトです。そんなOCLPが2023年10月3日に公開したバージョン「1.0.0」では、記事作成時点で最新の「macOS Sonoma」のサポートに対応しています。

OpenCore Legacy Patcher
https://dortania.github.io/OpenCore-Legacy-Patcher/SONOMA-DROP.html

Release 1.0.0 · dortania/OpenCore-Legacy-Patcher · GitHub
https://github.com/dortania/OpenCore-Legacy-Patcher/releases/tag/1.0.0

グリマリョク氏が主導するOCLPはこれまで、「macOS Big Sur」「macOS Monterey」「macOS Ventura」を古いMacにインストールさせることに成功してきました。OCLPを導入することで、Appleが公式サポートを打ち切った古いMacでも、最新のmacOSの機能やセキュリティアップデートを利用することが可能です。

今回のバージョン1.0.0を利用できるMacのモデルは、2007年に発売されたiMacから2019年まで販売されていたMacBookまでのすべてのMacです。

OCLPではmacOS Sonomeのサポートに際して、Metalを搭載しない古いMacにおいてグラフィックアクセラレータのサポートが可能かどうか懸念されていました。また、OCLPは「サポートが可能だとしても、バージョン1.0.0リリースのタイミングでこれらのサポートを追加できるか分かりません」と述べていました。

しかし、今回公開されたバージョン1.0.0では懸念点の1つだったMetalを搭載しないモデルでのグラフィックアクセラレータも追加されており、macOS Venturaをサポートしていた以前のバージョンと同じ数のMacをサポートすることが可能です。また、macOS Sonomaの配信のタイミングでAppleからのサポートが打ち切られたMacも、OCLPを使えばmacOS Sonomaを利用可能となります。

一方で、Metalを搭載したMacでも、古いモデルにおいてはSafariを利用してDRM保護された動画の再生に非対応だったり、ライブテキストCORの使用が非対応だったりと一部制限があります。そのほか、Metalを搭載していないMacでは、基本的なUIのレンダリングや特定のアプリの実行の際に問題が発生する可能性が示唆されています。

また、OCLPのバージョン1.0.0では、2016年から2017年にかけて販売されたTouch Bar付きMacBook Proに搭載されたT1チップでのTouch IDに関わるサポートは追加されていません。

これらの問題に対し、グリマリョク氏は「時間をかければこの問題が対処できるかもしれません。しかし、今のところいつ問題が解決できるかについてお伝えできることはありません」と述べています。

またグリマリョク氏は「古いMacのモデルをmacOS Sonomaに対応させるために、私たちは何カ月も懸命に働きました。また、サポートを待ち望むハードウェアの数や種類が非常に多く、基本的にMacではクローズドソースのOSで作業する必要があるため、作業は困難を極めました」と語っています。

なお、グリマリョク氏は「macOS Sonomaを利用していて問題が発生した場合には、macOS VenturaやmacOS Montereyなど、以前のバージョンのmacOSを使用することを推奨します」と呼びかけています。