サイエンス

生命の可能性に期待、木星の衛星エウロパの海から二酸化炭素が発生していることがNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって判明


木星の衛星「エウロパ」には「液体の水」を含む海が存在する可能性が示されています。新たにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いた観測によってエウロパに二酸化炭素が存在することが確認されました。

NASA’s Webb Finds Carbon Source on Surface of Jupiter’s Moon Europa | NASA
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2023/nasa-s-webb-finds-carbon-source-on-surface-of-jupiter-s-moon-europa


エウロパは氷に包まれた星として知られていますが、2013年にはハッブル宇宙望遠鏡によって「水の噴出」が観測されており、分厚い氷の下に液体の水でできた海が隠れている可能性が示されています。液体の水は生物の生存に重要な物質であるため、エウロパに生命が存在する可能性が浮上していました。

木星の衛星「エウロパ」の表面から水の噴出を観測、地球外生命体発見へ一歩前進 - GIGAZINE


NASAによると、エウロパに水が大量に存在する可能性は示されたものの、生物にとって重要な物質である「炭素」の有無は確認されていなかったとのこと。そこで、研究チームはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の赤外線分光装置「NIRSpec」を用いてエウロパの表面に存在する物質を分析しました。

分析の結果、エウロパの「タラ地域」と呼ばれる領域に二酸化炭素が存在することが明らかになりました。NIRSpecによる分析結果を示した画像が以下。左側の3枚の画像内に表示された白いピクセルが二酸化炭素の位置を示しているとのこと。


NASAによると、エウロパで発見された二酸化炭素は隕石(いんせき)などの飛来物によってもたらされたものではなく、エウロパの地下海洋で発生した可能性が高いとのこと。研究チームの一員であるジェロニモ・ビジャヌエバ氏は「地球生命は炭素をベースに生活しています。エウロパの海の化学的性質を理解することは、エウロパの海が生物の生存に適しているか否かを判断するのに役立つでしょう」と述べています。また、同じく研究チームの一員であるサマンサ・トランボ氏は「私たちはエウロパの表面に存在する二酸化炭素がエウロパの海に由来するという観測的証拠を持っています。これは取るに足らないことではありません。炭素は生物に必須の元素なのです」と語り、エウロパに生物が存在する可能性に期待を示しています。

なお、NASAは2024年10月に無人探査機「Europa Clipper」をエウロパに向けて打ち上げる予定です。

NASA's Europa Clipper
https://europa.nasa.gov/


Europa Clipperの組み立て状況は以下のライブ配信で確認できます。

Live From the Clean Room - Building Europa Clipper - YouTube


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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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