サイエンス

男女間でオーガズムの回数にギャップが存在する理由とは?


異性間の性交渉では、女性は男性よりもオーガズム(性的絶頂)を感じる回数が圧倒的に少ないとされています。この「オーガズム・ギャップ」と呼ばれる特徴について、フロリダ大学心理学部のローリー・ミンツ氏が解説しています。

The orgasm gap and why women climax less than men
https://theconversation.com/the-orgasm-gap-and-why-women-climax-less-than-men-208614


アメリカ・チャップマン大学による5万人以上の男女を対象とした調査では、異性愛者の男性のうち約95%が「親密な関係になった相手との性交渉では大抵オーガズムを感じる」と回答した一方、異性愛者の女性で同様の回答をしたのは約65%にとどまりました。

別の調査では、女性はパートナーと一緒にいるときよりも、一人でいるときの方がオーガズムを経験する傾向があるとされており、約92%の女性が自慰行為を行う際にオーガズムを感じていることが報告されています。また、女性はカジュアルな相手よりも親密な関係にある相手との性交渉において、より多くオーガズムを感じる傾向があることが示されています。1万2000人以上の大学生を対象としたニューヨーク大学の調査では、初対面の相手との性交渉でオーガズムを感じたと報告した女性の割合はわずか10%にとどまったのに対し、親密な関係の相手との性交渉でオーガズムを感じたと回答した女性の割合は約68%に上ったことが報告されています。

また、女性は同性との性交渉でもオーガズムを強く感じる傾向があり、ケンブリッジ大学の調査では、バイセクシャルの女性のうち約64%が、他の女性と性的に親密な関係にあるとき、大抵オーガズムを感じると回答したことが明かされています。

オーガズム・ギャップの主な要因としてミンツ氏は「性行為中のクリトリスへの刺激」を挙げています。男性のオーガズムにはペニスへの刺激が必要ですが、同様な組織からなる女性のクリトリスもオーガズムにとって重要とのこと。ミンツ氏によると、「オーガズムを確実に感じる手法」について何千人もの女性にたずねたところ、「ペニスの挿入」と答えた女性の割合はわずか4%にとどまった一方で、「クリトリスへの刺激」と回答した割合は約96%に達しました。


多くの女性がオーガズムを得るためにクリトリスへの刺激を求めるにもかかわらず、多くの映画やテレビ番組、雑誌などがペニスの挿入だけでオーガズムを感じる女性を描いていることが指摘されています。また、ミンツ氏は「我々の文化では、『性行為』と『ペニスの挿入』を同じであるかのように扱っています」と述べ「挿入の前に行われるクリトリスへの刺激を『前戯』として扱い、まるで性行為の下準備として軽視しています」と指摘しています。


ペニスの挿入を伴う性交中にパートナーがオーガズムを感じると、男性は自尊心が高まるという研究がある一方で、女性はパートナーの自尊心を守るためにオーガズムを感じたと偽ることがあると報告されています。心理学者のエリン・クーパー氏らの調査では、「性交中にオーガズムを感じたと偽った経験がある」と答えた女性の割合は53%から85%に上りました。

ミンツ氏はオーガズム・ギャップを埋めるための手段として、男性・女性の双方に「クリトリスへの刺激」を重視するよう周知させるだけでなく、円滑なコミュニケーションを取ることを推奨しています。つまり、性交渉の手順として一般的な「前戯の後に性交を行う」という古い因習を捨てるように奨励しています。ミンツ氏によると、性交中の適切なバイブレーターの使用などが有効とのこと。


また、女性は性交中の自身の姿や、パートナーを満足させているかどうかを気にすることが多いため、マインドフルネスも重要であることがこれまでの研究によって示されています。

オーガズム・ギャップを埋めることは、質の高い性交以上の価値をもたらします。ミンツ氏に対して複数の女性が「オーガズム・ギャップの少ない性行為を行うと、これからの生活への活力を得ることができました」と伝えたとのこと。男女間のオーガズム・ギャップを埋めると、女性が男性に対して性的に望むことを伝えたり、性的に望まないことから自身を守ったりすることが可能になります。つまり、女性は自身が望まない方法での性行為の拒否や、妊娠や性感染症の予防などを主体的に行うことができることが報告されています。


さらに、ラトガース大学の研究チームは、「若者が性行為はパートナー双方にとって楽しいものであり、男性が快楽を得るための手段ではないことを学ぶと、性的暴力に発展する可能性が低下することが示唆されました」と報告しています。

ミンツ氏は「女性の快楽やオーガズムについて男女双方に教育することは、オーガズムの質を高める以上の効果があります」と述べています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1r_ut

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