サイエンス

立つと足がみるみる青くなってしまう新型コロナ後遺症が報告される


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかると、回復後も2年以上持続する認知機能の低下などの後遺症「ロングCOVID」に見舞われる可能性があり、その影響は知られている以上に危険だと専門家は警告しています。新たに発表された論文で、立っていると足に静脈の血がたまって足が青くなってしまうまれな後遺症が報告されました。

Venous insufficiency and acrocyanosis in long COVID: dysautonomia - The Lancet
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(23)01461-7

A Startling Case of “Blue Legs” Raises Concerns Over Long Covid’s Unexplored Symptoms
https://scitechdaily.com/a-startling-case-of-blue-legs-raises-concerns-over-long-covids-unexplored-symptoms/

イギリス・リーズ大学リウマチ・筋骨格医学研究所のNafi Iftekhar氏とManoj Sivan氏は、2023年8月12日付で査読制の医学雑誌・The Lancetに掲載された論文で、10分間立っていると足が青くなってしまう33歳の男性患者の症例を紹介しました。

以下は、患者が起立した直後(左)、起立してから2分後(中央)、10分後(右)の写真です。


患者は病院を訪問する半年前から、立っていると足が急速に青紫色になる症状に悩まされていました。変色の他には、足が重くなったり、ヒリヒリしたり、かゆみが出たりする症状もあり、時には発疹が出ることもあるとのこと。これらの症状は患者が横になると緩和され、足の色もいつも通りに戻りました。

これらの症状から男性は、起立時の心拍数の異常な増加を特徴とする「起立性頻脈症候群(POTS)」と診断されました。

Sivan氏は「このケースは、COVID-19に感染する前には肢端チアノーゼを経験したことのなかった患者における、顕著な肢端チアノーゼの症例です。この症状を経験した患者は、これがロングCOVIDや自律神経失調症の症状であることを知らずに、何が起きているのか不安に感じるかもしれません。同様に、臨床医も肢端チアノーゼとロングCOVIDの関連性を知らない可能性もあります」と話しました。


ロングCOVIDでは日常生活に支障をきたすさまざまな症状が表れますが、その中には血圧や心拍数を調整する自律神経系の機能が乱れる自律神経失調症もあります。また、これまでにもウイルス感染症により自律神経失調症となった小児で肢端チアノーゼが観察されたことがあり、Sivan氏らは以前の研究でもロングCOVID患者が自律神経失調症やPOTSを発症することを指摘していました。

今回の事例を踏まえて、Sivan氏は「私たちは、長期疾患における自律神経失調症についての認識を深め、より効果的な評価と管理アプローチを行い、さらにこの症候群についての研究を進める必要があります。そうすることで、患者も臨床医もこれらの症状をよりよく管理できるようになります」と話しました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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