TSMCが1.5兆円規模の半導体工場を日本やアメリカに続いてドイツに建設予定
by 李 季霖
台湾に拠点を置く世界最大の半導体ファウンドリ「TSMC」は日本の熊本県やアメリカのテキサス州に工場を新設する計画を進めています。新たに、TSMCがドイツでの半導体工場建設計画を2023年8月8日(火)に発表しました。ドイツに建設予定の工場にはTSMCとボッシュ、インフィニオン・テクノロジー、NXPが共同出資する予定で、投資総額は100億ユーロ(約1兆5700億)を超えると見積もられています。
TSMC, Bosch, Infineon, and NXP Establish Joint Venture to Bring Advanced Semiconductor Manufacturing to Europe
https://pr.tsmc.com/english/news/3049
発表によると、TSMCはボッシュやインフィニオン・テクノロジー、NXPと共同でドイツのザクセン州ドレスデンに有限会社「European Semiconductor Manufacturing Company(ESMC)」を立ち上げて工場建設計画を進める予定とのこと。投資総額は100億ユーロ(約1兆5700億)に達し、有限会社の設立後はTSMCが株式の70%を保有し、残りを3社が10%ずつ保有するとされています。
工場の建設は2024年後半に始まり、2027年末の稼働開始を目標としています。工場では12nmプロセスおよび16nmプロセスの半導体が生産される予定で、毎月4万枚の300mmウエハーを製造する生産能力の確保が見込まれています。また、2000人規模のハイテク人材の直接雇用も予定されています。
TSMCのシーシー・ウェイCEOは「今回のドレスデンへの投資は顧客の戦略的キャパシティと技術需要に応じるというTSMCのコミットメントを示すものです。ボッシュ、インフィニオン・テクノロジー、NXPとの長年の連携を深める機会に興奮しています。ヨーロッパは特に自動車や産業分野において半導体の技術革新にとって有望な場所です。ヨーロッパの優秀な人材とともに先進的なシリコン技術でイノベーションを実現することを楽しみにしています」と述べています。
なお、TSMCの熊本工場は2024年末の稼働開始を目指して建設が進んでおり、2023年8月にはオフィス棟が稼働開始することが報じられています。また、テキサス州に建設中の工場では2024年中に4nmプロセスの半導体を生産開始する予定でしたが、人材不足を理由に生産開始時期が2025年に延期されています。
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