AppleとAmazonが競合の妨害をしたとして2社合計300億円超の罰金をスペイン当局から科される

Amazonマーケットプレイスにおいて、他ブランドの競合製品を表示されにくくしたり、再販業者の数を不当に制限したとして、AppleとAmazonがスペインの独立機関・市場競争委員会(CNMC)から1億9415万ユーロ(約313億円)の罰金を科されました。

La CNMC multa a Apple y Amazon con 194 millones por restringir la competencia en la web de Amazon en España | CNMC
https://www.cnmc.es/prensa/sancionador-amazon-apple-20230718

Apple and Amazon fined $218M for ‘brand gating’ in Spanish antitrust finding | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/07/18/apple-and-amazon-fined-218m-for-brand-gating-in-spanish-antitrust-finding/

CNMCによると、AppleとAmazonは2018年から、Amazon.comのスペイン版である「Amazon.es」において、AmazonをAppleの代理店とする契約を結んでいたとのこと。

契約には複数の条項があり、そのうち「除外条項」または「ブランドゲーティング」と呼ばれる条項に基づき、Amazon.esではApple製品の再販業者の90％以上が不当に排除されました。スペインではAmazon.esがApple製品をオンライン購入する際の重要な販売経路となっているため、Apple製品の販売を許諾されなかった業者は、販売ルートを失ったことになります。

Amazon自身が代理店となったことから、Apple製品の顧客に対するダイレクトマーケティングを行うようになり、再販業者のビジネスは著しく阻害されることになりました。EU他地域に拠点を置く業者のスペインでのApple製品販売数も下落し、加盟国間の貿易が制限されたとCNMCは述べています。

こうしてAmazonがほぼ独占的にApple製品を販売することで、スペインのオンライン市場では競争が起きず、消費者がApple製品購入のために支払う額も相対的に増加していたとのこと。

また、「広告条項」と「マーケティング条項」により、Amazon.esではAppleの競合製品の広告スペースが制限されていました。これについては具体例が公開されています。

以下は「Samsung Galaxy S22」の検索結果。画面上方には、Galaxy S22の購入を検討している人をターゲットに出稿されているOPPOの広告が表示されています。

一方、「Apple iPhone」で検索すると、競合端末の広告は表示されず、Apple製品の広告が表示されます。これは、ライバルが広告を出さなかったのではなく、Amazonが広告の表示を制限していたためだったというわけです。

CNMCは、契約内のこれらの条項がスペインにおいてApple製品の販売動態を変化させる要因になり、ブランド内・ブランド間の競争を制限し、競争法(LDC)第1条およびEUの機能に関する条約(TFEU)第101条違反だと結論づけ、Appleに1億4364万ユーロ(約225億円)、Amazonに5051万ユーロ(約79億円)の罰金を科すことを決定しました。

なお、AppleとAmazonは通知翌日から2カ月以内に、国家裁判所に対して異議申し立てができるとのことです。