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メモアプリ「Evernote」がスタッフのほぼ全員を解雇したとのうわさが流れる

by Focal Foto

メモや画像、動画、PDFファイルなどのあらゆる情報整理や共有に役立つメモアプリ「Evernote」が社内に残ったほぼすべての従業員を解雇したことが、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsで伝えられています。

Tell HN: Nearly all of Evernote’s remaining staff has been laid off | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=36609641


Evernoteはステパン・パチコフ氏が2000年に創業したメモアプリサービスを提供する企業です。2007年には共同創設者のフィル・リービン氏がCEOに就任し、ユーザー数を1100万人、企業価値を10億ドル(約1440億円)にまで高めました。

しかし、その後は競合となる他社サービスの台頭もあって伸び悩み、2015年には全従業員のうち約18%を解雇し、複数のオフィスの閉鎖を断行しました。

Evernoteが組織再編のために世界的規模で従業員の解雇を実施 - GIGAZINE

by Sebastian Jaramillo

さらにEvernoteは2016年にサービス内容と料金の改定を行い、無料ユーザーが同期できる端末は2台までに制限され、有料版も従来の1.5倍に値上げされました。無料ユーザーがアクセスできる端末数の制限に対しては、ユーザーエクスペリエンスを損なうという観点から「改悪だ」という批判の声が上がっていました。

Evernoteが1.5倍に値上げ&無料版の同期端末を2台までに制限するという「改悪」を実施 - GIGAZINE


また、Evernoteでは2018年にも会社の過剰拡大と非効率性の是正を理由に、全従業員のうち約15%の従業員を解雇しました。その際、最高技術責任者をはじめとする上級幹部の多くがEvernoteを辞任したとのこと。その後、新たに就任したイアン・スモールCEOの手によってEvernoteの立て直しが行われ、有料ユーザー数は数百万人、経常利益は1億ドル(約140億円)に達するまでに回復しました。

2022年には、動画編集アプリの「Splice」や画像補正アプリの「Remini」などを手がけるヨーロッパの大手IT企業「Bending Spoons」がEvernoteを買収することを発表していました。その際、Bending Spoonsのルカ・フェラーリCEOは「Evernoteをさらに進化させられるよう、今後も精進を重ねてまいります」と述べ、Evernoteのサービスが継続されることを明らかにしていました。

メモアプリ「Evernote」をヨーロッパのIT企業Bending Spoonsが買収へ - GIGAZINE


一方で2023年2月にBending SpoonsはEvernoteの従業員129名を解雇したことが報じられています。海外メディアのTechCrunchに対してEvernoteの広報担当者は、「同社は何年もの間経営状況が芳しくなく、このままでは長期的な経営は不可能でした。そのため、従業員の解雇は避けられない決断でした」と述べています。

しかし、2023年5月にEvernoteはAIを活用した新機能を追加する一方でさらなる値上げを行うことを発表。2021年の時点で月額680円、年間5800円だった「PERSONAL」プランは月額1100円、年間9300円に。月額850円、年間8500円だった「PROFESSIONAL」プランは月額1550円、年間1万2400円に値上げされました。

相次ぐ従業員の解雇や値上げが行われる中で、2023年7月6日、Hacker Newsに「Evernoteの残りの従業員のほぼ全員が解雇されました」とのスレッドが立てられました。スレッドを立てたbaron816というユーザーは「Evernoteの事業を引き継いだBending Spoonsは、サービスの料金を引き上げ、得た収益は新機能の拡大に使用する予定であることをユーザーに伝えていますが、従業員がいない状況でその予定をどのように遂行するのかは、私が知りたいくらいです」と述べています。また「まだEvernoteを使用している場合は、使用をやめるいいタイミングです」と忠告しています。

by Brooks Duncan

Evernoteの衰退の原因について、あるユーザーは「Evernoteは数多くの有料ユーザーを抱えていましたが、大幅な値上げの断行やバグまみれのユーザーエクスペリエンス、自身が業界のトップだと過信して競合他社との競争から目を背けてきたのが理由です」と指摘しています。また、Evernoteの他にもGoogle ドキュメントDropbox PaperNotionなど、高品質かつ低コストで提供されているメモアプリやソフトがあることを勧めています。

また、「Evernoteはサービス内容の改定によって、それまで無料で行うことができた機能を有料化し、無料ユーザーを有料ユーザーに変換させようとしてきました。Evernoteのように正直に有料化の理由を説明しても、一度失った信頼を取り戻すのはほぼ不可能です」との指摘も残されています。

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in ソフトウェア, Posted by log1r_ut

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