サイエンス

カモメは「人間が持っているものと同じ食べ物」を識別して好んで盗むことが実験で判明


「カモメに襲われて食べ物を奪われる」と聞くとまるで漫画やアニメの中の出来事のようですが、実際に海岸や船上で物を食べていると、カモメが手から食べ物を奪っていくことがあります。科学者たちは以前から「なぜカモメは人間の食べ物を奪うのか?」についての研究を行っており、イギリス・サセックス大学の研究チームが発表した新たな研究では、「カモメは2種類の食べ物が目の前にある時、近くの人間が手に持っているものと同じ食べ物」を好んで盗むことが示されました。

Inter-species stimulus enhancement: herring gulls (Larus argentatus) mimic human food choice during foraging | Biology Letters
https://doi.org/10.1098/rsbl.2023.0035


Greedy gulls decide what to eat by watching people -- new research
https://theconversation.com/greedy-gulls-decide-what-to-eat-by-watching-people-new-research-206144

ヨーロッパに生息するセグロカモメは海岸や河口に生息していますが、近年は都市に近い場所でもコロニーを作って繁殖するようになり、人間との相互作用がますます増えているとのこと。その過程で、セグロカモメは人間の食べ物を積極的に奪う行動を身につけており、過去の研究では「カモメが学校の昼休みを狙って食べ物を盗みに来る」ことや、「人間がしばらく手に持った後で地面に置いた食べ物を好む」ことがわかっています。

カモメは「人間が手に持つ食べ物」を好む傾向がある - GIGAZINE


サセックス大学の神経行動学教授であるポール・グラハム氏らが行った新たな研究では、カモメが人間によって触られた物体を追跡できるだけでなく、「空間内の物体を人間が操作している物体と比較し、同一のものと判断できるかどうか」を調べるための実験が行われました。異なる物体を比較し、それらが同一のものかどうかを判断する能力は、単なる物体の追跡よりも高い認知能力の存在を示唆するものです。

研究チームは砂浜にいるカモメから数メートル離れた地点に、色の異なる2つのスナック菓子の袋を置きました。研究者はそこから少し離れた場所に座り、2つ置かれたスナック菓子の袋のうち、どちらか一方と同じ色の袋を手に持っていたとのこと。


カモメが2つ置かれた袋のうちどちらに興味を持つのかを調べたところ、袋を盗もうとしたカモメの実に95%が、「近くに座っている研究者が持っている方と同じ色の袋」をつついたことが確認されました。これは、カモメが「研究者が持っている袋」と「砂浜に置かれた同じ色の袋」を同一のものだと認識し、そちらを優先して盗もうとしたことを示しています。

なお、袋を盗もうとしたカモメはほとんどが大人だったそうで、食べ物を盗むには若いカモメにはない大胆さとスキルが必要なことも示唆されたとグラハム氏は述べています。


セグロカモメが人間と頻繁に相互作用するようになったのは約80年前からであるため、カモメの能力は人間と共生したために発達したのではなく、もともと備わっていたものだと考えられています。グラハム氏は、「いずれにせよカモメとの衝突を最小限に抑える試みは、単にカモメにエサを与えないようにするだけでなく、カモメの優れた観察能力を考慮に入れるべきです」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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