生き物

カモメは「人間が手に持つ食べ物」を好む傾向がある


港や船の甲板で食べ物を手に取って掲げていると、辺りを飛び交うカモメがスーッと近寄り、サッと食べ物をくわえて飛んでいくことがあります。人間に対して警戒心が強いはずの野生のカモメが人間の手から食べ物を奪っていくのは「カモメは、人間が手に持っている食べ物を好む傾向がある」からという研究結果が発表されました。

Urban herring gulls use human behavioural cues to locate food | Royal Society Open Science
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.191959


Seagulls hunger for food touched by human hands | Popular Science
https://www.popsci.com/story/animals/seagull-food-human-touch/


エクセター大学生態保護センターの研究チームはイギリス南西部に生息するセグロカモメの成鳥を対象に2つの実験を行いました。

1つ目の実験では、実験者は港をうろついているセグロカモメに接近し、セグロカモメに向き合った状態で、パンケーキを左右に1つずつ、およそ120cmほど離して地面に置きました。さらに、実験者は2つのパンケーキのうち片方を20秒間手に持ったり顔に近づけたりして、再び地面に配置。その上で、セグロカモメがどちらのパンケーキに興味を示すかを確認しました。

すると、合計38羽のセグロカモメのうち24羽が地面に置かれたパンケーキをすぐにくわえようとし、さらにそのうち19羽は実験者が手に取った食べ物を選んだとのこと。


また、2つ目の実験は1つ目とは別の場所で、パンケーキと同じ形とサイズに切り取ったスポンジを使い、1つ目と同じ実験を行ったとのこと。41羽のセグロカモメを対象にしたところ、そのうちの32羽がスポンジに近づき、23羽がスポンジをつつきました。そのうち、人間が手に取ったスポンジに反応を示したのは15羽でした。

この実験結果から研究チームは、セグロカモメは「他の動物であれば警戒するかもしれないような新しいオブジェクト」、特に人間が触ったものに興味を持つ傾向があると主張しました。また、食べ物ではないスポンジを用いた2つ目の実験では、人間が手に取ったところを観察していても、セグロカモメがスポンジをつついた割合は偶然レベルを超えないものであったことから、人間が手に持ったことだけでなく、食べ物であるかどうかもカモメの注意を引く上で重要である可能性があると研究チームは述べています。


研究チームは「人間と野生生物の相互作用がますます一般的になってきているにもかかわらず、『都市環境における人為的資源を利用するために、野生動物が直接的な人間の手がかりをどのように利用しているのか』についての研究はほとんど行われていません」とコメント。

また、「セグロカモメだけが都市環境で人間の行動を利用する唯一の野生動物である可能性は低いでしょう」と研究チームは述べ、人間と行動範囲が重なる他の野生動物も人間の行動を基に食べ物を見つけている可能性を示唆しました。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1i_yk

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