カササギは大きな群れで生活するほど知能が向上して繁殖力も高まる

by NAPARAZZI

カササギフエガラスは、大きな群れの中で生活すると脳の力が向上することが最新の研究で明らかになっています。

Cognitive performance is linked to group size and affects fitness in Australian magpies | Nature
https://www.nature.com/articles/nature25503

Magpies' brain power may be boosted by living in larger groups - Science News - ABC News
http://www.abc.net.au/news/science/2018-02-08/australian-magpie-brain-power-boosted-by-group-size/9401674

オーストラリア・パースに生息するカササギフエガラスの認知能力を調査していく中で、「カササギフエガラスは大きな群れの中で生活する方が賢くなる」ということがわかりました。この研究は科学誌のNatureに掲載されており、群れの規模が大きくなり複雑な社会集団での生活を送ることで、カササギフエガラスの知性にも影響が出ているとされています。

論文の著者である西オーストラリア大学のベン・アシュトン博士は、「群れの数が大きくなれば個々の個体を覚えておかなければいけなくなるだけでなく、それぞれとの関係やどのように行動しなければいけないかなども覚えておかなければいけなくなります」と語っており、これにより群れの数が大きくなればなるほど脳の力も向上することになるとのことです。

by NAPARAZZI

カササギフエガラスは条件がそろえば数年にわたって同じ場所で暮らすことができる鳥で、群れは多世帯が一緒に暮らしていることが多く、まさに一族がそろって群れを成していることもあるそうです。そんなカササギフエガラスについて研究したアシュトン博士たち研究チームは、オーストラリアのギルドフォード郊外に生息する群れを3年間にわたって調査しました。調査対象となったカササギフエガラスの群れは、3羽の小さな群れから12羽の大きな群れまでさまざまだったそうで、それぞれを見分けるために脚にカラーリングを取り付けていました。

研究チームはこれらの群れに属するカササギフエガラスのうち、成鳥56羽を対象に4つのテストを行わせました。テストの中には、カササギフエガラスが8つの仕切りの中に隠されたモッツァレラチーズの塊を記憶して探し出さなければいけない空間記憶タスクや、透明なチューブから食べ物を取り出さなければならないテストなども含まれています。これらのテストはカササギフエガラスがどれくらい「行動を制御する能力」を有しているかをテストするもので、「むやみにチューブにクチバシを突っ込むことを止め、いずれかの開口部から食物を調達する」ということを学ばなければいけません。


このテストの結果、大きな群れの中で暮らすカササギフエガラスは、少数の群れで生活する個体よりも一貫して優れた成績を収めることが明らかになりました。アシュトン博士によると、「少数グループの個体の認識能力には大きな違いが見られなかった」とのこと。「認知能力」と「群れの規模」の間に関連性があることはテスト前から期待されていましたが、その結果は驚くべきものでした。

また、カササギフエガラスの知性はどの段階で大きく変化してくるのかを調査するため、研究チームは21羽の若鳥を100日ごとにテストするという試験も行っています。テストを行った最も若い時点では、群れの規模では若鳥の知性に差異が生じなかったそうですが、200日後から若鳥の知性に大きな差異が生じ始めることが確認されました。この結果についてアシュトン博士は、「この結果は純粋に遺伝的なものではなく、何らかの環境的要因があるものと考えられる」とコメント。

加えて、知性の高いメスのカササギフエガラスは高い繁殖成果をあげていることも判明していますが、その理由については不明です。このことについてアシュトン博士は、「スマートなメスのカササギフエガラスがより繁殖を成功しているのは、ひなや稚児を守ることに優れているからかもしれません。もしくは、スマートなメス鳥はより品質の高い食べ物をひなたちに食べさせている可能性もある」と述べています。

by Charles Haynes

アシュトン博士の研究チームは、集団でのコミュニケーションの増加が脳のネットワークと認知能力の発達に寄与していると主張していますが、カササギフエガラスの専門家であるギセラ・カプラン博士や他の研究者たちは、「動物が集団行動する場合、高い知性を持つ必要はなくなる」と主張。つまり、動物全般においては、「大きな群れで多くのコミュニケーションを取っている動物の方が高い知能を有する」とは限らないのではないかと考えられているわけです。

カプトン博士は、大きな群れで暮らすカササギフエガラスが認知能力が発達していたのは、群れの安定性を高めるためではないかと語っており、3年間にわたって住環境に変化のないギルドフォード郊外に生息する群れではなく、より安定性の低い群れの知能をテストするべきと主張しています。

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