動画

空想・妄想することはどのような利点があるのか?


退屈なときや手持ちぶさたのときなどに、ふとファンタジーの世界や物語のような場面を空想したり、自分が何かのチャンピオンになるところを妄想したりした経験は誰しもあるはず。ただ空想や妄想をするだけの時間は、無意味で無駄な時間のように感じてしまいますが、実際には空想・妄想は科学的な意味があるというアイデアを、アニメーションでさまざまな物事を解説するYouTubeチャンネル「TED-Ed」がムービーで説明しています。

The benefits of daydreaming - Elizabeth Cox - YouTube


私たちは日々、1日の3分の1を空想や妄想をする時間に費やしているとされています。これは一見すると膨大な時間の無駄と思われますが、科学者たちは「人間が空想・妄想に多くの時間を費やすのは、何らかの目的があるに違いない。そうでなければ、人間はそのように進化しなかっただろう」と考えているそうです。


例えば、運動をした経験もあまりないにもかかわらず、毎朝トレーニングを行って、陸上の競争でいくつも優勝していき、ついにはオリンピックチームのキャプテンとなり、他人からねたまれて攻撃されても寛容な精神で優しく声をかける、そんなあり得ない妄想をします。


そのような妄想をしているときの、脳の活動領域とエネルギー消費の過多に着目します。心が揺れ動くようなとき、脳はさまざまな領域が活性化しており、これらの領域は「デフォルトモードネットワーク」を構成します。「デフォルト」と呼ばれているように、特に目立った働きはしていないため、科学者たちは長年このデフォルトモードネットワークの活動パターンを「脳の休息」と関連付けていました。


しかし、より詳細に脳の活動を調べたところ、デフォルトモードネットワークは私たちが記憶をたどっていたり、自分の計画や未来への展望について考えるとき、そして空想や妄想にふけっているときに関係していると判明しました。


思考がぼんやりとさまようとき、過去に起きたケンカなど嫌な思い出を想起して悩んでしまったり、ただ単に午後から何をしようか計画していたりと、向かう先はあちらこちらに分かれています。しかし、思考の放浪が最も面白くなるのは、自由に連鎖して動く思考の領域に入ったときです。


連鎖的思考のような状態は、アイデアとポジティブな感情の両方の増加に関連しており、空想が「目標を達成する方法」を思い描き、人間関係や社会的状況を乗り切るのに役立つ可能性があると研究で示されています。科学者たちによると、自由な連鎖的思考がプラスの結果を生むプロセスには、2点の重要な部分があるそうです。


まず、デフォルトモードネットワークによって自由にアイデアが流れて自発的に思考する段階があり、その後、自発的な思考の生成から最良のアイデアを選択、開発、追究する段階が訪れます。活発に活動して相互に通信・連携する脳領域をまとめて「エグゼクティブネットワーク」と呼びますが、このエグゼクティブネットワークがデフォルトモードネットワークで生まれた思考を論理的に解決していくことで、とりとめのないアイデアが意味のある理論や精神へと推進されます。多くの研究では、このデフォルトモードネットワークとエグゼクティブネットワークが同期して機能することは、創造的思考にとって重要な条件であると示唆しています。


特に10代の若者は、複雑な認知行動や人格に関わる脳の領域である前頭前皮質などはまだ発達中ですが、自分の問題や目標を徹底的に考える能力が完璧に備わっています。そのため、自分で考える余地を奪うことなく、ぼんやりとした思考の旅の中でとりとめのない空想や妄想をしていくことを大切にできると望ましいです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
妄想や白日夢にふけるクセを心配しなくてもよい理由 - GIGAZINE

クリエイティブな才能は注意散漫な人の方が発揮できる - GIGAZINE

なぜネガティブな人はやせやすい、ネガティブ思考のポジティブな面とは? - GIGAZINE

睡眠とメンタルヘルスはどのようにして脳内でつながっているのか? - GIGAZINE

人はなぜ強制された時より自主的に取り組む時の方が速く学べるのか?が科学的に示される - GIGAZINE

in サイエンス,   動画, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article here.