エナジードリンクによく含まれる「タウリン」が老化を遅らせる可能性


栄養ドリンクやエナジードリンクに含まれており、疲労回復の効果があるとされるアミノ酸「タウリン」が老化を遅らせる可能性があることが分かりました。

Taurine deficiency as a driver of aging | Science
https://doi.org/10.1126/science.abn9257


Common energy drink ingredient taurine ‘may slow ageing process’ | Ageing | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2023/jun/08/common-energy-drink-ingredient-taurine-may-slow-ageing-process

2012年、コロンビア大学のヴィジャイ・ヤダヴ氏らの研究チームがマウス、サル、ヒトの血液成分を分析した結果、タウリンの濃度が年齢とともに劇的に低下することが発見され、老化現象の潜在的な要因として考えられることが判明しました。この分析では、一般的な人のタウリンレベルは60歳時点で5歳児の3分の1にまで低下していたとのこと。

この発見を受け、ヤダヴ氏らは中~高齢のマウスにタウリンを投与した場合に起こる影響を調べました。その結果、タウリンを投与されたマウスは投与されなかった対照群よりも健康で若々しく、骨密度、筋力、記憶力、免疫系にも良好な効果が見られました。ヤダヴ氏はこの結果を確認し、「タウリンは老化の主要な特徴すべてに影響を与え、動物をより健康で長生きさせるのです」とコメントしました。


健康状態を改善するだけでなく、タウリンを投与したマウスは長生きしました。投与したマウスは対照群と比べてオスが平均10%、メスが12%長寿で、期間にしておよそ3~4ヶ月、人間の7~8年に相当する間長生きしました。

次にヤダヴ氏らは、タウリンの効果が生物学的に人間に近い動物にも現れるかどうかを調べました。中齢のマカクを対象とした6ヶ月間の試験で、マカクにタウリンを毎日摂取させると、体重の増加が防止され、血糖値を下げ、骨密度と免疫系が改善し、健康が増進することが分かりました。

こうしたタウリンの効果が人間にも何らかの効果をもたらす可能性も示唆されています。ヤダヴ氏らが60歳以上のヨーロッパ人1万2000人の医療データを分析したところ、タウリン濃度が高い人は肥満や2型糖尿病、高血圧の症例が少なく、炎症レベルも低かったことが判明。加えて、エクササイズバイクを使った激しい運動がタウリン濃度を高めることも分かっています。


動物実験によりタウリンが老化防止に効果的に働く可能性が示唆されましたが、タウリンの安全性や効果を実証する大規模な試験が行われていないため、ヤダヴ氏らはタウリンの過剰な摂取は推奨していません。タウリンは体内で自然に作られるほか、肉や貝類、エナジードリンクに含まれています。エナジードリンクは手軽にタウリンを摂取することができますが、ヤダヴ氏らは「エナジードリンクに含まれるタウリン以外の物質の中には、多量に摂取することが推奨されないものもあります」と述べ、やはり過剰摂取をしないよう警告しています。

ヤダヴ氏は「タウリンの量は年齢とともに減少しますが、この減少を逆転させることで動物はより長く、より健康に生きられます。これらの知見は人間にも関係するはずです」と述べ、大規模な臨床試験を行うよう呼びかけました。

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in サイエンス,   , Posted by log1p_kr

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