サイエンス

人間の脳内思考をインプラント不要で文章出力できるAIが開発される


テキサス大学オースティン校の研究チームが、脳を非侵襲的な方法でスキャンして思考を言語化できるAIシステムを開発しました。実験では脳のスキャンにMRIが用いられましたが、MRIより小さなデバイスでも思考の言語化が可能である可能性が示されています。

Semantic reconstruction of continuous language from non-invasive brain recordings | Nature Neuroscience
https://doi.org/10.1038/s41593-023-01304-9

Brain Activity Decoder Can Reveal Stories in People’s Minds | College of Natural Sciences
https://cns.utexas.edu/news/podcast/brain-activity-decoder-can-reveal-stories-peoples-minds


人間の脳内思考を読み取って出力する技術はすでに存在していますが、既存のシステムでは脳内にデバイスを埋め込む必要があります。テキサス大学オースティン校の研究チームが新たに開発したシステムでは、MRIでスキャンした脳データを用いて思考を言語化することが可能となりました。


研究チームは被験者に16時間に及ぶポッドキャストを聴かせながら脳データをスキャンし、スキャンデータを用いてAIをトレーニングしました。AIは単語を1つ1つ認識するのではなく思考全体の内容を認識するように調整されており、例えば「彼女はまだ運転免許を持っていない」という思考は「彼女は運転を習い始めていない」といったように認識されます。

以下の図は「被験者に音声を聴かせた際の脳データを読み取る実験」の結果を示しており、左側が「被験者が実際に聴いた音声の書き起こし」で、右側が「AIが思考を読みとって文章化したもの」です。図を見ると、文章を語順通りに再現できているわけではないものの、文章の内容は再現できていることが分かります。


被験者に短い無音ムービーを閲覧させた際の思考読み取り結果が以下。AIは被験者が「i see a girl that looks just like me get hit on her back and then she is knocked off(自分に似た女の子が背中を打たれて倒されるのを見ている)」と考えていることを検出しました。


研究チームによると、今回の実験ではMRIが用いられたものの、理論上は思考を読み取る機材はMRIより小型なNIRSでもよいとのこと。研究チームはNIRSを思考の読み取りに利用することで持ち運び可能な思考読み取りデバイスを開発できると述べています。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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