サイエンス

新生児の脳はお母さんの声とほかの女性の声を聞き分けている


モントリオール大学の研究で、出産直後から生後24時間までの新生児の脳波測定により、新生児がお母さんの声とほかの女性の声を聞いたとき、脳の違う部分が反応していることが明らかになったそうです。お母さんの声は、新生児の脳で言語の習得にかかわる部分を活性化するとのこと。

詳細は以下から。Mom's voice plays special role in activating newborn's brain

モントリオール大学のMaryse Lassonde博士らは、生まれてから24時間以内の新生児で、眠っている間の脳波を測定し、お母さんの声とほかの女性(看護師)の声に対する反応を調べました。


新生児の母親と看護師が、それぞれ「A」(「エー」ではなくフランス語の「アロー」のような短い「ア」)という声を出したところ、母親の声の時には新生児の脳の左半球、特に言語処理と運動をつかさどる部分が反応し、看護師の声のときには脳の右半球が反応したそうです。右半球の反応は、音声認識と関連づけられています。

なお、実験に参加した女性看護師たちは自分も子どもを持つ母親で、新生児が胎内で聞いたことがある声と初めて聞く「知らない声」を区別しているという可能性を除外するため、出産前に定期的に被験者の母親と会って話をしていた(胎児に声を聞かせていた)そうです。また、音声分析により母親と似た声の看護師を選んであるとのこと。

似たような声の女性の中でもお母さんの声だけに特別に反応するのは、多数の女性が多数の言語をしゃべるマルチリンガルな環境で育った赤ちゃんも、お母さんが話す言葉を第一に身につける仕組みになっているのでしょうか?第一言語のことを「母語」や「Mother tongue」というのは、実に的を射た表現なのかもしれません。

赤ちゃんは生まれた時からすでにある程度の言語能力を持っていることは以前から知られていした。例えば、「ア」という音を聞いた赤ちゃんは、これまでその音を人が発音する姿を見たことがなくても、口を「ア」の形に開ける、といった先天的な知識ともいえるものです。しかし、この分野はまだまだ解明されていないことが多く、今回「新生児にとって母親の声は特別」と科学的に裏付けられたことは、新生児の言語能力と言語習得の仕組みについて解明するための大きな一歩となるだろうとのこと。

「今回の研究は、母親が新生児へ言語を伝える第一の存在であることを裏付け、出生前の言語習得と発話に必要な運動能力との間に神経生物学的なリンクがあることを示唆しています」とLassonde博士は語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log