サイエンス

新型コロナは大きく変異したので「SARS-CoV-3と呼ぶべき」と専門家が提唱


日本では2023年3月13日からマスクの着用が個人の判断となり、アメリカでもジョー・バイデン大統領が4月10日に、2020年に出されていた新型コロナウイルス感染症の国家非常事態宣言を終了させる法案に署名しました。社会の正常化が進められる一方、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックは終息しておらず、依然として危険なことに変わりはありません。こうした状況に対し、一部の専門家は「SARS-CoV-2は発見された2019年から著しく変異しているので、SARS-CoV-3に改名して新しい脅威として再定義すべき」と警鐘を鳴らしています。

The COVID virus has mutated so much since 2019 that some experts say it should be renamed SARS-CoV-3 | Salon.com
https://www.salon.com/2023/04/13/the-has-mutated-so-much-since-2019-that-some-experts-say-it-should-be-renamed-sars-cov-3/


2023年に入り、全世界での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例数の報告は落ち着きを見せ始めています。

by Worldometer

これについて、WHOの広報担当者であるマーガレット・ハリス氏は、「COVID-19の症例報告は、世界的な感染数や再感染の真の数を過小評価しています。これは多くの国で検査が減少し、報告も遅れているのが一因です」と指摘しました。

SARS-CoV-2の変異の予兆を捉えていち早く対応するには、検査による変異株の発見と遺伝子解析が欠かせません。しかし、検査数は世界的に縮小傾向にあるため、WHOは各国政府に対し、強力な検査と遺伝子解析を継続するよう要請を続けています。


2023年3月、WHOはSARS-CoV-2の変異株の脅威に関する定義を更新し、記事作成時点で優勢な変異株「XBB.1.5」、通称「クラーケン」を「注目すべき変異株」と分類しました。これは、「懸念される変異株」よりも脅威が少ないと位置づけられたことを意味しています。

WHOがオミクロン株を最後にギリシア文字による命名をやめて、新たな変異株に対して楽観的な評価を下す一方、一部のウイルス学者は「XBB系統のウイルスは最初に発見されたSARS-CoV-2とは遺伝的に異なるため、SARS-CoV-3に改名させるべき」と主張しています。

WHOのハリス氏によると、XBB.1.5は感染力や免疫を回避する能力が高いものの、重症度や死亡率の上昇を示唆する報告はないとのこと。これ自体は悪いことではありませんが、ウイルスが人から人へと感染し増殖を繰り替えせば、新しい変異を獲得する危険性があります。


カナダ・ゲルフ大学の生物学者であるT・ライアン・グレゴリー氏は、「ウイルスのゲノム監視は少なくなっており、廃水を検査する資金を引き揚げるところもあるようです。私たちは以前よりはるかに少ない情報しか得られなくなったので、新しい変異株を検出し追跡する能力は減少しています」と述べました。特に問題となっているのは、世界人口の約3分の1を占める中国とインドからの情報がほとんどない点です。

専門家は、政府のワクチン政策が縮小するなどして、多くの人がCOVID-19に対して脆弱(ぜいじゃく)になっている点にも神経をとがらせています。ニューヨーク工科大学の計算生物学者であるRajendram Rajnarayanan氏は「オミクロン株対応2価ワクチンの追加接種を受けた人はほとんどいないので、ウイルスからの保護という観点では、私たちは脆弱です。ワクチン接種が大きく減少し、そこに新しい変異株が登場すると、私たちはほとんど守られていないことになります」と述べています。

今後もSARS-CoV-2の新しい変異株、あるいはSARS-CoV-3が猛威を振るう可能性がありますが、それらに対抗するための戦略は変わりません。つまり、公共の場でのマスク着用、室内の換気、適切な検査、体調が悪いときの自宅待機、可能な限りのワクチン接種などです。

Rajnarayanan氏は「人は変わり、アプローチも変わりますが、ウイルスを倒すのに最新のアプローチは不要です。私たちは対応策をすでによく知っています。それは、一致団結することです。これ以上のことはありません」と話しました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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