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Adobeが独自のジェネレーティブAI「Firefly」を発表、PhotoshopやIllustratorといったCreative Cloudへの統合も


2023年3月21日、IllustratorやPhotoshopといったクリエイティブツールでおなじみのAdobeが、独自の画像生成機能およびテキストエフェクトを提供できるジェネレーティブAI「Firefly」を発表しました。Fireflyは将来的にAdobe Creative Cloudに統合され、コンテンツの作成・修正に、さらなる精度・パワー・スピード・手軽さをもたらしてくれます。

Adobe - Adobe Unveils Firefly, a Family of new Creative Generative AI
https://news.adobe.com/news/news-details/2023/Adobe-Unveils-Firefly-a-Family-of-new-Creative-Generative-AI/default.aspx

アドビ、新たなジェネレーティブAI 「Adobe Firefly」を発表
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202303/20230321_adobe-unveils-firefly.html

Adobeは、すべてのクリエイターが自分の想像力そのままに創作活動ができるようにFireflyを設計したと発表しています。Fireflyを使用することで、コンテンツクリエイターは経験や才能に関係なく、自身の言葉をベースに画像・音声・ベクター・動画・3D・ブラシ・カラーグラデーション・動画変換などで、思い描いた通りのコンテンツをこれまで以上に簡単かつ迅速に生成可能となります。また、業界をリードするAdobeのツールやサービスにFirelyを直接搭載することで、ユーザーは既存のワークフローの中で、気軽にジェネレーティブAIを活用できるようになります。


実際にFireflyでどのような画像生成およびテキストエフェクトが行えるのかは、以下の動画を見ればよくわかります。

Adobe Firefly: Family of New Creative Generative AI Models - YouTube


テキストボックスに「シーンを冬の日に変更」と入力して「Generate」をクリック。


すると、鮮やかな緑が特徴的だった風景写真が一瞬で冬の日のワンシーンに変わります。


さらに、「雪が積もった冬の日」や「雪が解けてきた冬の日」、「雪が降る冬の日」などバリエーションまで用意してくれているのがわかります。


動画のように雪がしんしんと降り積もっていきます。


ワンちゃんのイラスト。


クルクルにカールした特徴的な毛並みを範囲指定。


そして「Generate Similar Brushes」をクリック。


複数種類のブラシが生成されるので、そのうちのひとつを選択。


すると、ワンちゃんの特徴的な毛並みを再現したブラシを簡単に作成できます。


時計の3Dモデル。


バンド部分にレザーのテクスチャを適用。


さらに、時計の筐体部分に金属テクスチャを配置。


すると、以下のようにレザーおよび金属テクスチャのバリエーションをFireflyが用意してくれます。


芝生のイラストを青色で塗りつぶします。


テクスチャの中から「River」を選択。


するとべた塗りの青色が美麗な川に変わりました。


木を配置。バリエーションも豊富です。


こんな感じで建物や生き物などを配置するだけで、美麗なイラストを簡単に生成できます。


「Generate template」というテンプレートを作成する機能もあります。


「ムードボードからテンプレートを作成」と入力して「Generate Template」をクリック。


テンプレートのスタイルを選択。


テンプレートに配置されているオブジェクトを変更して、自分だけのテンプレートを作成できます。


「近未来的なアカショウビンをとても詳細に」と入力。


Fireflyが出力したのは以下の画像です。


背景を追加。


さらにエフェクトをかければ非常に洗練された画像に仕上がります。


既に完成されたイラストを範囲選択。


すると、建物周辺がマスクされました。


「Generate Variations」をクリック。


すると、建物部分だけ異なるバリエーションのものに変更することが可能に。


「水中都市」と入力して「Generate」をクリック。


すると、一発でイラストの雰囲気に合った水中都市が生成されました。


手書きフォントを読み込み「このスケッチのベクターバリエーション」と入力して「Generate」をクリック。


すると、手書きのスケッチをベースにベクターフォントが生成されます。


もちろん編集も可能です。


さらに、フォントを選択してから「Generate Text Styles」をクリック。


すると、文字にさまざまなテクスチャを追加できます。


「このテキスチャーで『MEOW』」と入力すると、以下の通り。


「Train your model」では、自身の入力した画像をベースにAIに画像生成を依頼することができます。


「私のヘッドホンをスタジオに配置して」と入力。


生成されたのが以下の画像。


「私のヘッドホンをアウトドア用バックパックに」と入力。


するとアウトドア用のバックパックにヘッドフォンがぶら下げられました。


Firefly


Fireflyは将来的に複数のモデルで構成され、さまざまなスキルセットや技術的バックグラウンドを持つユーザーの幅広いユースケースをカバーできるように調整される予定です。しかし、最初のモデルは、AdobeのフォトストックサービスであるAdobe Stockの画像や、ライセンスフリーのコンテンツ、著作権が失効しているパブリックドメインコンテンツをベースにトレーニングされています。つまり、Fireflyで生成する画像やエフェクトを商業利用しても安全なように設計されているわけです。また、Adobe Stockで提供されている素材は、市場で最も高品質な、何億枚ものプロ仕様のライセンス取得済み画像であるため、Fireflyは他のクリエイターやブランドのIP(知的財産)を侵害するようなコンテンツの生成を行うことはありません。

なお、AdobeはFireflyにおいてその他のソースが提供するさまざまなアセットや技術、トレーニングデータを活用した複数のモデルの追加を予定していますが、それらの実装においても潜在的なバイアスに優先的に対処すると約束しています。

Fireflyの特徴は以下の通り。

・クリエイターの制作効率を向上
コンテンツは世界経済の原動力であり、クリエイティビティとデザインは今日、かつてないほど高く評価されています。最近のAdobeの調査によると、過去1年間でコンテンツ需要が2倍以上になったと回答したブランドが88%にのぼり、3分の2の企業が今後2年間でその需要が5倍になると予想しています。Adobeは、こうした需要の高まりがクリエイターにもたらす負荷を軽減するために、ジェネレーティブAIを活用した迅速でスマート、かつ便利に作業ができるソリューションを提供します。それには、ユーザーが所持するコラテラル(画像やマーケティング資料など)でFireflyをトレーニングし、固有のスタイルやブランド言語に基づいてコンテンツを生成できるような機能も含まれます。

・クリエイターへの対価
Adobeは、Adobe StockやBehanceで行ってきたような、プロフェッショナルクリエイターが自身の作品を収益化できるような機会や仕組み作りを目指し、ジェネレーティブAIサービスの構築を計画しています。Adobe Stockでは、AIのトレーニングにクリエイター(コントリビューター)がストック素材を提供した場合、そのデータセットをもとにFireflyが生成した画像から得られる収益を、クリエイターが享受できるような方法を検討しています。詳細については、Fireflyのベータ版が終了した際に、改めて報告される予定です。

・オープンスタンダードの提言
Adobeは、デジタルコンテンツの帰属表明において信頼性のあるグローバルスタンダードを構築するために、コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)を設立しました。現在、世界中に900以上のメンバーが加盟しており、CAIの役割はかつてないほど重要なものとなっています。Adobeは、非営利団体Coalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)を通じ、開発が活発なCAIのオープンソースツールを無償提供し、オープンな業界標準を推進しています。これらのゴールには、クリエイター所有のコンテンツがモデルのトレーニングに使用されないよう要求するために、画像のコンテンツクレデンシャルに「Do Not Train」タグを付ける機能も含まれています。このタグは、コンテンツの使用、公開、保存といったあらゆる局面において、コンテンツに関連付けられたままとなり、またAIが生成したコンテンツにも、「AI生成」を示すタグが付けられます。

・Fireflyのエコシステム
Adobeは、顧客がカスタムワークフローやマーケティングオートメーションに統合できるように、Fireflyを様々なプラットフォーム上のAPI経由で利用できるようにする予定です。

発表に伴い、Fireflyのプライベートベータ版も公開されました。Fireflyのプライベートベータ版には以下から参加可能です。

AI Art Generator – Adobe Firefly
https://www.adobe.com/sensei/generative-ai/firefly.html


Adobeは、プライベートベータ版のプロセスを通じてクリエイティブコミュニティやユーザーと深く関わりながら、Fireflyを進化させ、アプリケーションへ統合していくことを予定しています。なお、今後Fireflyが統合されるアプリケーションとしては、Adobe Express、Adobe Experience Manager、Adobe Photoshop、Adobe Illustratorなどが予定されています。

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in ソフトウェア,   動画, Posted by logu_ii

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