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チャットAIのGPT-4でポケモンをプレイすることに成功、「勝利」と入力するだけでポケモンリーグ制覇


現地時間の2023年3月14日に正式発表されたばかりの「GPT-4」を使い、「ポケットモンスター エメラルド」をプレイすることに成功したと、PTC Reality Labのエンジニアであるダン・ダンゴンドさんが報告しています。

So it turns out, GPT-4 knows enough about Pokemon Emerald that you can ask it to pretend to be a text-based interface for it and it just... works? A thread. (Shoutout to @Bulbapedia for being my fact-checking source for this!) #gpt4 #ChatGPT

— Dan Dangond (@DanDangond)


ダンゴンドさんが「ポケットモンスター エメラルドをコマンドラインインターフェイスでシミュレーションすることはできますか?」と質問したところ、GPT-4は「もちろんです!実際のコマンドラインインターフェイスを用意することはできませんが、テキストベースでポケットモンスター エメラルドを疑似的にプレイすることなら可能です。これはいわばポケットモンスター エメラルドの簡易版のようなものです」と返答しています。さらに、そのままミシロタウン(英語版ではLittleroot Town)から冒険がスタートし、最初の相棒として「キモリ」「アチャモ」「ミズゴロウ」の中から1匹を選ぶよう促されます。ダンゴンドさんがみずタイプのミズゴロウをパートナーポケモンに選択すると、そのまま最初のバトルがスタート。相手は野生のポチエナです。戦闘パートでは各ポケモンのレベルと、ミズゴロウが使える「たいあたり」と「なきごえ」のどちらのわざを使うかが選択できます。

Starts up the game without a problem, pretty accurate so far, skipping the moving van and clock setting scene which honestly isn't the most riveting thing in this game anyway pic.twitter.com/o4nqtMdCHH

— Dan Dangond (@DanDangond)


戦闘パートでは各ポケモンの残り体力がパーセンテージで表示されます。戦闘が終了するとようやく冒険がスタート。GPT-4は「次は何をしますか?」とダンゴンドさんに尋ねており、ユーザー側が自由にこれから何をするかを決められるようです。

Battle is rudimentary but works! Could probably ask it to show HP values rather than just percentages pic.twitter.com/liuKuxpqeo

— Dan Dangond (@DanDangond)


冒険に出かける前にダンゴンドさんは相棒のミズゴロウに愛称をつけています。確認するとミズゴロウはオスだったので、ダンゴンドさんは「Kip」と名づけています。

It had skipped the opportunity to name Mudkip which I thought was a TRAVESTY. A quick question helped fix that pic.twitter.com/2qEy0VouRH

— Dan Dangond (@DanDangond)


101ばんどうろを歩いて冒険をスタートしたダンゴンドさんは、まだミズゴロウが覚えていないわざである「みずてっぽう」を使うようGPT-4に依頼しています。すると、「Kipはみずでっぽうを覚えていません。Kipの現在のレベルは『5』で、たいあたりとなきごえしか覚えていません。Kipがレベル10になるとみずてっぽうを覚えます」と返ってきました。ポケットモンスター エメラルドでミズゴロウがみずてっぽうを覚えるのはレベル10になってからなので、GPT-4はシリーズごとに異なる「ミズゴロウがみずでっぽうを覚えるレベル」まで正しく把握しているということになります。

It correctly identified that Mudkip does not learn Water Gun until level 10 in Gen 3 pic.twitter.com/4c5fOk9pfz

— Dan Dangond (@DanDangond)


さらに、GPT-4は「101ばんどうろを旅しながら、野生のポケモンとバトルしたり、トレーナーとバトルしたりしながら経験値を稼ぐことができます。あるいは、野生のポケモンを捕まえることもできます。何がしたいですか?」と、具体的にどういったことができるかをダンゴンドさんに例示。ダンゴンドさんが「ピカチュウを捕まえたい」と返すと、「ポケットモンスター エメラルドでは、ピカチュウにはミナモシティのサファリゾーンで出会えます。まだ101ばんどうろにいるのでミナモシティまでは遠いです。旅を続けていけばサファリゾーンへたどり着くことができるので、その時にピカチュウを捕まえられます」と、親切にもピカチュウと出会える場所まで教えてくれました。

Unfortunately, it also knows where Pikachu can and cannot be found pic.twitter.com/Ham1lB5Oww

— Dan Dangond (@DanDangond)


ただし、103ばんどうろ周辺の地理情報には間違いもあったそうです。しかし、「Kipをレベル8までトレーニングして」という育成作業をスキップするような要請にもGPT-4は器用に応じ、Kipは一気にレベル8まで成長します。

So Route 103 is directly north of Oldale, Route 102 is to the west and leads to Petalburg, so this was just factually wrong (it also makes no mention of the path west being blocked for now)
But! You can now skip the experience grind! Amazing! pic.twitter.com/rmEWqMbITy

— Dan Dangond (@DanDangond)


さらに、ライバルとのバトルも忠実に再現してくれます。ダンゴンドさんが「キモリはレベル5できゅうしゅうを覚えないんじゃない?」と指摘すると、GPT-4は「謝らなければいけません。キモリはご指摘の通りレベル5で吸収を覚えません。バトル上の間違いを修正しました」と、素早く間違いを認め修正する柔軟さも見せます。

It knows that your rival always has the pokemon with a type advantage over you, which is good, but bringing up the type advantage made it trick itself into thinking Treecko has a grass type move at level 5 (which it does not) and cheating. A quick correction fixed that up. pic.twitter.com/6Y9onlK77g

— Dan Dangond (@DanDangond)


「野生のポケモンとの遭遇を自動でシミュレートしてもらうことはできますか?」と尋ねたところ、GPT-4が野生のラルトスを捕まえてくれました。さらに、Kipはレベル10まで成長し、新しいわざを覚えます。そして102ばんんどうろを通ってトウカシティに到着。もはやダンゴンドさんではなくGPT-4がポケモンをプレイしています。

It can skip through the wild pokemon encounters for you and also decided to catch a Ralts for me? I'm glad because I always catch one here and it's normally tedious due to its 4% spawn rate. This was much easier. Also cool how it knows about the two Oran berries here. pic.twitter.com/wNgX6nESjT

— Dan Dangond (@DanDangond)


GPT-4は旅の道中で出会うポケモントレーナーの名前を正確に覚えているものの、そのトレーナーたちが所有するポケモンを正確には把握していない模様。

It knows the names of the two trainers in Petalburg Woods, but not the exact details of their parties. Lyle has 4 level 3 Wurmples and James has 2 level 6 Nincadas. James also normally comes after the battle with the Team Aqua Grunt iirc. pic.twitter.com/dxrIBUikkR

— Dan Dangond (@DanDangond)


また、むし・じめんタイプのツチニンとの戦闘時には、じめんタイプの弱点がみずタイプであることを把握していないというハプニングも起きたそうです。ダンゴンドさんがミスを指摘したところ、正しく修正してくれたものの、間違ったタイプ相性のままスタートしたバトルによりKipの体力は減少しており、これをGPT-4が戻してくれることはなかったそうです。

It missed that Nincada was weak to Water Gun, and completely forgot about Team Aqua. When corrected about Nincada, it re-did that turn, but forgot to add back the health it took from Kip. pic.twitter.com/80unEYXIP8

— Dan Dangond (@DanDangond)


ポケットモンスター エメラルドで登場するアクア団が登場していなかったことに気付いたダンゴンドさんが「アクア団はどうでしょう?」と尋ねたところ、さっそくアクア団の一員に遭遇。そしてすぐさまポケモンバトルがスタート。バトルに勝利すると、アクア団の魔の手から研究者を救ったということでスーパーボールをゲットできました。

Prompting it about Team Aqua fixes the missing Grunt issue quickly, this grunt does have the correct party. GPT also gives the correct reward for saving the researcher! pic.twitter.com/A4ynzT8JlC

— Dan Dangond (@DanDangond)


GPT-4は一部のトレーナーの所有ポケモンを間違うことがあるそうで、その理由は「パーティー内で同じポケモンを2匹以上使用している場合、重複分をスキップしてしまうため」であることをダンゴンドさんは突き止めています。

It seems to skip duplicate pokemon in parties, Roxanne should have two level 12 Geodudes pic.twitter.com/YUGGilmMq7

— Dan Dangond (@DanDangond)


さらに、「ポケモンリーグまでの残りのゲームをシミュレートしてもらえますか?」と入力したところ、GPT-4は一気にポケモンリーグ直前の段階までゲームを進めてくれました。ポケモンリーグに挑む目前の段階でのダンゴンドさんのパーティーは、フーディン:レベル54、ラグラージ:レベル55、サーナイト:レベル53、バシャーモ:レベル52、ボスゴドラ:レベル51、ライボルト:レベル50の6体。ダンゴンドさんは、自身が最初にミズゴロウを選んだためこのゲーム内ではアチャモを捕まえる方法がないはずなのにも関わらず、最終パーティー内にアチャモの進化形であるバシャーモがいることについて「どうやってゲットしたんだろう?」とツイートしています。

Any% speedrun here we go! I don't know how I got a Blaziken but works for me! pic.twitter.com/ZiN6eYVPP5

— Dan Dangond (@DanDangond)


そして、「Win(勝利)」と入力するだけでポケモンリーグをクリアしてしまいました。

gg ez (wrong champion, should be Wallace, but close enough, Steven was the champion in Sapphire and Ruby) pic.twitter.com/tatZGbg0Fp

— Dan Dangond (@DanDangond)


なお、ダンゴンドさんによるとGPT-4は完全オリジナルのポケモンをシミュレートすることもできるそうです。

I'm out of thread, but GPT can also simulate a completely original Pokemon game (obligatory Midjourney image of Arborunt, going off of a description provided by GPT). Hoping Nintendo doesn't send a cease and desist over this ???? pic.twitter.com/ZwV0fwT0nC

— Dan Dangond (@DanDangond)

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in ネットサービス,   ゲーム, Posted by logu_ii

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