メモ

シリコンバレー銀行の破綻で生じる4400億円の不足を補うとステーブルコイン・USDCの発行元が発表


経営破綻したシリコンバレー銀行にデジタルステーブルコイン・USD Coin(USDC)の準備金のうち33億ドル(約4400億円)相当を預けていたという発行元のCircleが、預金の返還が不透明な状況ながら「不足分が生じてもUSDCをアメリカドルと1:1の比率で換金できるようにする」と発表しました。

An Update on USDC and Silicon Valley Bank
https://www.circle.com/blog/an-update-on-usdc-and-silicon-valley-bank


SVB Fallout: Circle's USDC Stablecoin Depegs on $3.3 Billion SVB Exposure - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-03-11/usd-coin-stablecoin-falls-further-from-peg-on-svb-exposure-risk

Circle To ‘Stand Behind’ USDC, Cover $3.3 Billion Shortfall Held in Silicon Valley Bank - Decrypt
https://decrypt.co/123224/circle-to-stand-behind-usdc-cover-3-3-billion-shortfall-held-in-silicon-valley-bank

Coinbase Pauses Conversions Between USDC and U.S. Dollars as Banking Crisis Roils Crypto
https://www.coindesk.com/business/2023/03/11/coinbase-pauses-conversions-between-usdc-and-us-dollars-as-banking-crisis-roils-crypto/

2023年3月10日、アメリカドルと1:1の比率で連動しているステーブルコインのUSDCの発行元であるCircleは、経営破綻したシリコンバレー銀行に33億ドルを保管していたことを発表しています。


これを受け、メディアは一斉に「USDCがアメリカドルとの連動を維持できなくなった」と報じました。

米サークル、シリコンバレー銀行から4450億円引き出せず - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB114790R10C23A3000000/


USDC、ドル・ペッグを維持できず-SVBに33億ドルの準備金 - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-11/RRC8GOT1UM0W01


準備金の一部を失ったUSDCに対する仮想通貨ユーザーの不安が増す中、仮想通貨取引所のCoinbaseは「銀行が閉鎖されている週末の間、USDCとアメリカドルの両替は一時的に停止しています。これは両替が通常の銀行営業時間内に清算されるアメリカドルの送金に依存しているためです。銀行が営業を始める月曜日になれば、USDCとアメリカドルの両替業務は再開する予定です」と述べていました。


しかし、Circleは12日に公式ブログを更新し、経営破綻したシリコンバレー銀行とUSDCに関する最新情報を更新しました。このブログはCircleの創設者でありCEOも務めるジェレミー・アレール氏もTwitterアカウントで共有しています。


シリコンバレー銀行は2008年のリーマン・ショックと同じような取り付け騒ぎに見舞われ預金が流出。Circleは「今回の取り付け騒ぎに耐えられるだけの十分な流動性を持った伝統的な銀行はほぼ存在しない」と指摘しています。これによりシリコンバレー銀行は多額の損失を被ることとなり、長期資産を売却せざるを得ない状況に陥り、最終的に経営破綻に陥りました。

USDCは現金とアメリカ国債の組み合わせで100%担保されています。具体的には、全体の77%に相当する324億ドル(約4兆3500億円)分がアメリカ財務省の短期証券(満期が3カ月以内)で担保されており、残りの23%に相当する97億ドル(約1兆3000億円)分はさまざまな機関に保有する現金で担保しているそうです。この97億ドルのうち、54億ドル(約7250億円)分は世界最大かつ最も安定した金融機関であるバンク・オブ・ニューヨーク・メロンに保管していますが、残りの33億ドル分はシリコンバレー銀行に保管されたままだそうです。

Circleは2023年3月9日(木)時点でシリコンバレー銀行の預金を他の銀行へ送金し始めたそうですが、この送金作業は10日時点では完了していないとのこと。ただし、Circleは「(経営破綻したシリコンバレー銀行の管理を担当する)連邦預金保険公社(FDIC)による管理を信頼しており、シリコンバレー銀行の預金を無事受け取ることができるようになると信じています」と記しています。


FDICのポリシーでは、銀行が管財人になる前に開始された送金は、通常通り処理されていたものとみなされます。そのため、FDICはシリコンバレー銀行が同組織の管理下に置かれるまでの間に行われていた取引の状況を確認している段階にあり、Circleが10日に行った「33億ドルの送金」処理も、FDICの確認後に処理(恐らく13日に)される可能性があるとCircleはみているそうです。

それでもシリコンバレー銀行に保管していた33億ドル分が100%返還されない可能性も十分にあります。そういった場合には、アメリカの送金法に則り、Circleは必要に応じて外部資本や会社のリソースを使用して、不足分の資金を補うと発表しました。USDCはアメリカドルと1:1の比率で連動していますが、準備金が返還されなくてもこの1:1の比率を崩すことなくUSDCをアメリカドルに換金できるようになることを保証した形です。

なお、残りの10億ドル(約1300億円)分はCustomers Bankに保管されているそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
仮想通貨のCircleが国立銀行を目指すと発表、実現すれば事実上デジタル通貨における中央銀行に - GIGAZINE

アメリカドルと1:1で対応する仮想通貨「USD Coin」の準備金を現金と国債のみにすると運営組織が発表 - GIGAZINE

日本の金融庁が日本円と連動するステーブルコインの発行と仲介を規制へ - GIGAZINE

Visaがステーブルコイン「USDコイン」をサポートすることを発表 - GIGAZINE

in メモ, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.