日本の金融庁が日本円と連動するステーブルコインの発行と仲介を規制へ
日本の金融庁が、日本円に裏付けされるステーブルコインの発行と仲介に規制をかけ、銀行と資金移動業のみに発行を許可すると日本経済新聞の国際版である日経アジアが報じています。
Stablecoins to face new restrictions in Japan - Nikkei Asia
https://asia.nikkei.com/Spotlight/Cryptocurrencies/Stablecoins-to-face-new-restrictions-in-Japan
Japan puts new restrictions on stablecoins - The Verge
https://www.theverge.com/2021/12/6/22821188/japan-puts-new-restrictions-on-stablecoins
Japan to Propose Limiting Stablecoin Issuance | PYMNTS.com
https://www.pymnts.com/cryptocurrency/2021/japan-to-propose-limiting-stablecoin-issuance/
デジタル通貨の一種であるステーブルコインは、アメリカドルや日本円などの法定通貨や特定の暗号資産(仮想通貨)を担保にコインを発行し、交換レートを固定することで価格の安定を実現している仮想通貨です。ただし、発行のための準備金が十分に準備されていない場合、価格の安定性が崩壊してしまい、金融市場に大きな打撃を与える可能性もあります。アメリカ財務省によれば、ステーブルコインの2021年における発行総額は2021年11月末時点で約1410億ドル(約16兆円)にのぼっており、急激な成長を遂げるステーブルコインの規制に向けて、アメリカ政府も情報収集を行っていることが報じられました。
価格の安定した仮想通貨・ステーブルコインの規制に向けてアメリカ政府が情報収集を開始 - GIGAZINE
日本銀行はデジタル通貨の実証実験を進めており、2022年4月からは現金との交換や民間の決済システムとの連携を中心とした第2段階が進められる予定。また、2022年内に銀行の預金に裏打ちされたデジタル通貨が発行される可能性も報じられています。
デジタル通貨フォーラム、今年度内に民間デジタル通貨の実証実験へ | ロイター
https://jp.reuters.com/article/digital-currency-forum-idJPKBN2I90BA
日本経済新聞によれば、ステーブルコインの発行者が銀行と資金移動業者に限定され、さらにステーブルコインの取引・管理を担う仲介業者を監督対象となるほか、利用者の本人確認や犯罪と疑われる取引の報告も義務づけるなど、マネーロンダリング対策も強化されるとのことです。
日本経済新聞は、金融庁の規制強化の背景にはアメリカドルと対応するステーブルコインのテザーが「準備金の半分がコマーシャルペーパーといったリスク資産である疑い」で司法省からの捜査を受けていたことがあると指摘。金融庁はステーブルコインの発行者が倒産し結果として他の金融市場を不安定にする可能性や、利用者が不安にかられてステーブルコインを一斉に現金化しようとする取り付け騒ぎも懸念していると日本経済新聞は述べています。
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