ハードウェア

HPのプリンターがファームウェアアップデートにより非正規インクをブロック、回避方法は?

by CartridgeSave Images

純正インクの価格を高くとどめることで収益構造を維持しているインクジェットプリンターについては、そのインクの価格の高さにしばしばユーザーが不満を漏らすことがあります。この度HPが販売するインクジェットプリンターの一部がアップデートにより非正規のインクをブロックしたため、ユーザーが不満を爆発させました。

HP outrages printer users with firmware update suddenly bricking third-party ink | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2023/03/customers-fume-as-hp-blocks-third-party-ink-from-more-of-its-printers/

2022年11月末、HPのインクジェットプリンターを使うユーザーが「何年も使っているプリンターが非正規のインクは使えないと言い出した」とツイートしました。「すべてのメーカーがこんなことをするのか?」と愚痴をこぼし、結局ブラザー製のプリンターに買い換えたそうです。

Some real @doctorow shit right here.

An @HP printer I've had for *years* has now decided I can't use the non-hp ink I bought. it worked for a few pages and then this: pic.twitter.com/WZT6ciFyex

— dave, aspiring peasant (@aspiringpeasant)


2023年3月8日にはオンライン掲示板Redditのユーザーが「HPがプリンターをアップデートし、非正規インクを全面的に禁止しました」と写真付きで投稿。プリンターに表示されたメッセージによると、非正規のインクは品質保証ができず、純正のインクカートリッジを挿入するまで印刷がまったくできないということでした。Redditユーザーは「HPに問い合わせたところ、プリンターのアップデートが原因だという答えが返ってきました」と付け加えています。


こうした問題が発生したのは、HPのセキュリティシステム「ダイナミックセキュリティ」にアップデートが施されたのが原因です。ダイナミックセキュリティは、HPのプリンターがインクカートリッジを識別し、非正規のカートリッジをブロックするために使用される機能です。HPはこの機能について「顧客体験の質を守り、印刷システムの完全性を維持し、知的財産を保護するために採用している」と説明していますが、この機能をめぐり集団訴訟が提起され、HPが1000万ユーロ(約14億円)の罰金を支払ったこともあります。

そういった過去があってもなおダイナミックセキュリティを提供し続けているHPですが、一方でダイナミックセキュリティを無効化できるプリンターもあります。

HPのヘルプページによると、特定のプリンターのみを対象としていますが、ファームウェアをアップデートすることによりダイナミックセキュリティを無効化できると説明されています。ただし、「HP Officejet Pro 6970」や「Officejet 6950」など、一部のプリンターは2016年12月1日以前に製造されたものしか無効化できません。アップデートをしていないのにインクをブロックする旨のメッセージが現れた場合は、無効化対象の機種かどうかを確認してファームウェアアップデートを施すべきですが、それ以外の機種を使っている場合、非正規インクのブロックを避けるにはファームウェアアップデートを避けるしかありません。


また、2023年時点で製造が終了している古いプリンター「HP OfficeJet Pro 6968」などは、公式製品ページにて「HP以外のチップを使用したカートリッジは動作しない可能性があり、現在動作するものも将来的に動作しなくなる可能性があります」と明記されています。

ダイナミックセキュリティのアップデートによりプリンターが非正規のインクカートリッジをブロックするという今回の事態はここで終わりではなく、将来的に何度も発生する可能性が考えられます。というのも、ダイナミックセキュリティのページでは「定期的に配信されるファームウェアの更新によりダイナミックセキュリティの有効性が維持されます。これにより、現在機能しているカートリッジを含め、プリンターがHP以外のチップを使用したカートリッジや改造を施したカートリッジ、HP以外の回路をブロックすることができます」と説明されているためです。

この件について報じたArs Technicaは「ダイナミックセキュリティはカートリッジの販売には役立つかもしれませんが、数え切れないほどのユーザーが怒りをあらわにし、今後HPの製品を避けるよう勧めているのを目にしています。HPがダイナミックセキュリティにこだわるのもいいですが、最小限の説明しかしないアプローチは顧客を混乱させる危険性があり、その結果、厳しい世評が寄せられることになります」と述べました。

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in ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1p_kr

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