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WHOが中国で実施予定だった新型コロナウイルス起源調査の第2フェーズを放棄したことが判明


新型コロナウイルスの起源について調査を進めてきた世界保健機関(WHO)が、中国で行われる予定だった調査の第2フェーズを放棄しました。科学誌のNatureは計画が放棄された理由について、「中国における研究の実施を巡る問題が継続しているため」と述べています。

WHO abandons plans for crucial second phase of COVID-origins investigation
https://doi.org/10.1038/d41586-023-00283-y

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2019年12月末に中国の武漢市で確認され、2020年に入ってから世界中で感染が拡大してパンデミックとなりました。記事作成時点では全世界で6億人以上の感染者数が確認されており、実に685万人が死亡したと報告されています。

COVID-19のパンデミックが起きた当初、アメリカのドナルド・トランプ元大統領らは「ウイルスは中国の研究所から流出した」と主張し、当時のマイク・ポンペオ元国務長官も「ウイルスの研究所流出説には多くの証拠がある」と発言するなど、中国との対立姿勢が鮮明となりました。

WHOは加盟国の要請を受けて新型コロナウイルスの起源についての調査を開始し、2021年1月に調査団を中国の武漢市へ送り込みました。ところが、中国当局は4週間の調査期間のうち2週間は隔離措置としてホテルにとどまることを要求したほか、中国政府が許可した施設にしか訪問が認められなかったとのこと。また、初期の患者に関する未編集データの引き渡しも拒否されてしまいました。

中国がWHOの新型コロナ調査団に対して未編集データの引き渡しを拒否 - GIGAZINE


WHOの調査団は2021年3月に調査結果をまとめたレポートを発表し、新型コロナウイルスの起源として考えられる4つのシナリオを提示しました。レポートの中で最も可能性が高いとされたシナリオは、「新型コロナウイルスはコウモリから中間種を介してヒトに感染した」というものであり、2番目が「動物から直接ヒトに感染した」というシナリオ、3番目が中国側の主張に沿った「冷凍食品を通じて他国から持ち込まれた」というシナリオであり、最も可能性が低いとされたのは「武漢にある研究所からウイルスが流出した」というシナリオでした。

WHOは新型コロナウイルスの起源について調査した第1フェーズに続き、感染拡大初期に中国やその他の地域で何が起こったのかを正確に特定する第2フェーズの調査を予定していました。第2フェーズでは武漢やその周辺にある野生動物市場、その市場に動物を供給している農場、そして初期の症例が確認された地域の研究所の調査などが計画されていたとのこと。


ところが、中国は「研究所を調査する」というWHOの提案を問題視して第2フェーズの計画を拒否しました。中国外務省の趙立堅報道官は、第2フェーズに関するWHOの提案は全加盟国の同意を得ておらず、すでに可能性が極めて低いと判断された研究所流出説に焦点を当てるべきではないと主張しました。

中国当局の協力が得られなかったことで第2フェーズは行き詰まり、WHOは最終的に第2フェーズを放棄しました。WHOの疫学者であるMaria Van Kerkhove氏はNatureに対し、「第2フェーズはありません。計画は変更されました」「世界各地で政治的な問題が発生し、起源を理解するための作業を困難にしてしまいました」と述べています。新型コロナウイルスの感染がどのように始まったのかを理解することは、将来のパンデミックを防ぐ上でも重要であるため、WHO以外の研究者たちも失望をあらわにしているとNatureは述べています。

ボストン大学国立新興感染症研究所の副所長であるGerald Keusch氏は、新型コロナウイルスの起源を調査するための国際社会・中国・WHOの取り組みが不十分だったと指摘し、WHOは中国当局との協力関係を築くことに積極的になるべきだったと主張しています。一方でVan Kerkhove氏は、WHOのテドロス・アダノム事務局長はデータのオープンな共有を呼びかけて中国当局への働きかけを続けており、WHOのスタッフも中国疾病予防管理センターとのコラボレーションを確立しようとしていると述べました。


WHO主導の正式な調査はストップしているものの、第2フェーズで予定されていたいくつかの研究はその他のチームによって進められています。2022年5月に発表された論文では、2019年9月~12月に収集された献血サンプルからは新型コロナウイルスの抗体は見つからず、2019年後半は武漢市でもウイルスが拡散していなかったことが示唆されました。アリゾナ大学の進化ウイルス学者であるMichael Worobey氏は、この論文は中国の研究者がもたらした重要な貢献であり、初期のゲノム分析結果を支持していると述べました。

また、記事作成時点では未査読の論文では、武漢の華南海鮮卸売市場で2020年初頭に採取されたサンプルから新型コロナウイルスの痕跡が発見されたと報告されています。研究チームはこれらのウイルスが人間から排出されたものと推測しており、2020年初頭に華南海鮮卸売市場で感染が拡大していたことを示唆しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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