行方不明になった「放射性物質入り極小カプセル」が1400kmに及ぶ大捜索によって発見される

オーストラリアで採掘装置に用いられる放射性物質「セシウム137」が入った直径6mm、高さ8mmのカプセルが2023年1月10日頃から行方不明になり、保健当局から緊急の公衆衛生に関する警告が発令されていました。懸命な捜索活動の結果、カプセルは2023年2月1日にようやく発見されました。
Urgent public health warning issued over lost radioactive capsule in Western Australia - ABC News
https://www.abc.net.au/news/2023-01-27/radioactive-capsule-lost-in-wa-emergency-public-health-warning/101901472
Call for review into disappearance of 'dangerous', tiny radioactive capsule in Western Australia - ABC News
https://www.abc.net.au/news/2023-01-29/call-for-review-into-disappearance-of-radioactive-capsule/101904900
Missing radioactive capsule found in WA outback after frantic search - ABC News
https://www.abc.net.au/news/2023-02-01/australian-radioactive-capsule-found-in-wa-outback-rio-tinto/101917828
行方不明になった放射性カプセルは、石油およびガス処理のプラントの放射線量を測定するために使用される放射線計の一部でした。この放射性カプセルは1月11日から16日にかけて、西オーストラリア州のニューマンからパースの間の約1400kmをトラックで輸送中に行方不明になりました。
2023年1月25日にワシントン州の最高保健責任者のアンディ・ロバートソン氏は会見を開き、直径6mm、高さ8mmの放射性カプセルが行方不明になっていることを発表しました。保健当局によると、この放射性カプセルは兵器としての使用は困難なものの、健康に深刻な影響を与える可能性があるとして、発見した場合は5m以上離れ、近づかずに通報することを呼びかけていました。

ロバートソン氏は「このカプセルから放出される放射線は、半径1m以内に近づいた場合2.4ミリシーベルトの自然放射線と同等の放射線量を1時間で浴びることになります」と述べ、「長時間近くにいて被ばくすると、急性放射線症候群を発症する可能性があります」と警告していました。
放射性カプセルを捜索するために、消防や救急、警察、保健省、その他の専門家によるチームが組織され、ニューマンとパース間の約1400kmを対象とした懸命な捜索活動が始まりました。また、放射性カプセルを紛失させた鉱業会社「リオ・ティント」のサイモン・トロットCEOは謝罪するとともに「関係当局の支援を行うだけでなく、輸送中の紛失原因に関する我が社独自の調査を開始しました」と述べていました。
放射性カプセルの捜索チームはガイガー・カウンターなどを用いて捜索を行っていましたが「カプセルが見つかるかどうかは確実ではありません」と述べていました。
その後、捜索チームの懸命な捜索の結果、行方不明になっていた放射性カプセルは2023年2月1日にニューマンの南74kmの地点で発見されました。カプセルは道路脇から2m離れた場所で見つかり、トラックから落ちた後は動いた形跡が見られないことから、市民に被害が出た可能性は限りなく低いことを確認しています。

見つかった放射性カプセルは安全のために半径20mが立入禁止に指定され、鉛のコンテナに格納した後、輸送・検査されるとのこと。

ロバートソン氏は「私たちは放射線安全法に基づいてリオ・ティントを提訴します」と報告しています。また、リオ・ティントのトロット氏は「我々は完全な調査を行うために全面的に州に協力します。また、調査の一環として政府からの要請があれば捜索の費用を喜んで払い戻します」と述べています。
・関連記事
「人間は誰もが放射性物質」と専門家、生命と放射線の切っても切れない関係とは? - GIGAZINE
食器や時計には放射性物質が含まれている可能性がある、どのように扱えばいいのか? - GIGAZINE
「放射性の塗料を塗ったキツネ」を日本に放す作戦が第二次世界大戦で検討されていた - GIGAZINE
放射能が残留する遺体を処理した火葬場職員が被ばくする事例が発生 - GIGAZINE
なぜ「沈没船の鋼」が放射線を検出するガイガーカウンターに用いられてきたのか? - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by log1r_ut
You can read the machine translated English article The missing ``minimal capsule containing….