サイエンス

火星のクレーターには「オパール」の原石がぎっしり詰まっていることが判明、水と生命の存在を示すカギか


NASAの火星探査機「キュリオシティ」が収集したデータの分析により、火星のクレーターにはオパールの原石が豊富に存在していることが分かりました。研究者らは、このオパールは火星に水が存在したことを示しており、かつて微生物が生息していた可能性を高める発見であると報告しています。

On an Extensive Late Hydrologic Event in Gale Crater as Indicated by Water‐Rich Fracture Halos - Gabriel - 2022 - Journal of Geophysical Research: Planets - Wiley Online Library
https://doi.org/10.1029/2020JE006600

NASA's Curiosity rover discovers water-rich fracture halos in Gale Crater | ASU News
https://news.asu.edu/20221219-nasas-curiosity-rover-discovers-waterrich-fracture-halos-gale-crater

Mars crater is 'chock-full' of opal gemstones, hinting at widespread water and possible microbial life | Live Science
https://www.livescience.com/mars-opal-gemstone-crater

今回、火星の巨大湖の痕ではないかと言われているクレーターで新たに水の痕跡を発見したのは、アメリカ地質調査所の研究員で、当時はアリゾナ州立大学に所属していたトラヴィス・S・J・ガブリエル氏らの研究チームです。

ガブリエル氏らは、2012年に火星のゲールクレーターに送り込まれたNASAの火星探査機・キュリオシティの観測記録を調べていた際に、地表の岩肌を横断するようにして地下まで伸びる「破砕ヘイロー(fracture halo)」という明るい色の鉱物の帯に目を留めました。


そこで、ガブリエル氏らが過去のデータを新たな手法で分析したところ、ゲールクレーターで見つかった破砕ヘイローは最近見つかったまったく別の岩石と成分がよく似ていることが分かりました。この最近見つかった岩石は、キュリオシティの化学分析カメラ「ChemCam」による分析で、二酸化ケイ素や水分を大量に含んでいることが分かっていた岩石でした。

さらに、キュリオシティが火星のルバンゴ掘削サイトという場所で採取したサンプルを中性子スペクトロメーターで解析した結果、破砕ヘイローにはオパールが豊富なことが確かめられました。二酸化ケイ素と水を主な成分としているオパールの発見は、以前の火星には水が豊富に存在したとする新たな証拠となります。また、地下まで伸びる破砕ヘイローの亀裂は、地表の水が干上がった後、過酷な地表から地下へと逃れた火星の微生物の避難経路になった可能性も考えられます。

ガブリエル氏は「ゲールクレーターで、広範囲に及ぶ裂け目のネットワークが発見されたことを踏まえると、潜在的に生命が居住可能な地下環境がゲールクレーター全体や、おそらく火星の他の地域にも広がっていたと予想できます。こうした環境は、ゲールクレーターの古代湖が干上がった後、長い間かけて形成されたものでしょう」と述べました。

by NASA's Marshall Space Flight Center

火星に豊富に存在することが分かったオパールは、火星進出に挑む人類にとっても生命線になるのではないかと期待されます。これまでも、火星の極地に氷があるとする強い証拠が発見されていますが、赤道付近といった他の地域では見つかっていませんでした。一方、オパールはそれほど強く水と結びついていないので、粉砕して加熱することで水が得られる上に、火星の広範囲に分布していると推測されます。

研究チームは今後、水が豊富に存在していた過去の火星についてより深く理解すべく、オパールを含むサンプルの採取や有人探査などの将来的な計画を進めています。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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