ついに火星に「液体の水」が存在する高い可能性を示す研究が発表される
By NASA's Marshall Space Flight Center
2015年3月5日に「火星には地表の20%を覆うほど大量の水がかつて存在していた」というNASAの研究論文が発表されていましたが、新たに、「火星の地中に水が液体状態で存在する高い可能性がある」と指摘する研究結果が発表されました。
Transient liquid water and water activity at Gale crater on Mars : Nature Geoscience : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/ngeo/journal/vaop/ncurrent/full/ngeo2412.html
Scientists just found the first evidence for liquid water on Mars - Vox
https://www.vox.com/2015/4/13/8384337/mars-water-liquid-curiosity
NASAの研究機関Centro de Astrobiologíaのマリア・パズ・ゾルザノ博士らの研究グループは、科学誌Natur Geoscienceで、「火星の地中には液体状の水が存在し得る」と発表しました。研究グループは火星で調査を続ける探査車キュリオシティから送られた地中のデータを分析することで、地中約5センチ付近の層に過塩素酸塩が存在することを発見。過塩素酸塩は水に非常に溶けやすい物質で、溶解によって凝固点降下が起こるため、氷点下以下の温度でも水は氷にならずに液体状態で存在する可能性が高いと考えられています。
ゾルザノ博士らは、大気中の気体状の水(水蒸気)は夜、地中に吸収され過塩素酸塩が溶解することで液体の水として存在し、日の出とともに温度上昇によって地中から再び大気中へと放出されると推測しています。
今回の研究成果についてスペイン地球科学研究所の惑星科学者ハビエル・マルティン・トーレス博士は、「これまで火星に大量の水が存在していたという『痕跡』は発見されていまいしたが、液体の水の存在を直接的に証明するものとしては初めての発見です」と述べています。また、惑星科学者のアルフレッド・マクワン博士は「同様の現象が今回、キュリオシティによって調査された場所とは別の場所でも起こりえる」と述べており、これまで想像されている以上に大量の水が火星の土壌に存在している可能性を指摘しています。
今回発見された液体状の水は氷点下以下の温度条件下でのみ存在し得ることから、ただちになんらかの生命活動に活用できるものではなさそうです。ただし、特定条件下で液体状の水が存在する高い可能性が明らかになったことで、火星で水を効率的に収集できる可能性が出てきたと言えそうです。
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