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TikTokは2000億円を費やし「TikTokは中国政府とは独立して運営された安全なアプリ」であることを認めるようアメリカ政府を説得している


ショート動画プラットフォームのTikTokは日本だけでなくアメリカでも絶大な人気を誇っていますが、アメリカ政府はTikTokに対する規制を強めています。TikTokはアメリカ政府側に対して「ユーザーデータをアメリカのサーバーに保管すること」や「データ保護とコンテンツモデレーションに関する決定を監督する部門の設立」などを提案しており、そのために多額の費用をかけていることが明らかになりました。

Exclusive: TikTok steps up efforts to clinch U.S. security deal | Reuters
https://www.reuters.com/technology/tiktok-steps-up-efforts-clinch-us-security-deal-2022-12-22/

TikTok, blocked? US access may rest on shaky terms of natsec deal | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/12/leaked-details-show-how-biden-could-save-tiktok-from-being-blocked-in-the-us/

TikTok has reportedly spent $1.5 billion to set up the team that will shepherd U.S. user data - Tubefilter
https://www.tubefilter.com/2022/12/22/tikok-project-texas-us-user-data-deal-oracle-president-biden-white-house/

Why experts say the proposed TikTok ban is more about politics than privacy : NPR
https://www.npr.org/2022/12/22/1144745813/why-the-proposed-tiktok-ban-is-more-about-politics-than-privacy-according-to-exp

アメリカでは中国発のソーシャルメディアであるTikTokに対するセキュリティ上の懸念が高まっており、アメリカの複数の州では既にTikTok禁止措置が講じられているだけでなく、「TikTokを政府のスマホなどで使うことを禁止する法案」が上院で全会一致で承認されてもいます。さらに、アメリカでは政府機関以外のあらゆるアメリカ人ユーザーがTikTokを使用できなくなる「TikTok禁止法案」まで提案されました。

「TikTokを政府のスマホなどで使うことを禁止する法案」が上院で全会一致で承認、アメリカでは既に13州がTikTok禁止措置を講じている - GIGAZINE


このような状況を受け、TikTokは中国のテクノロジー企業であるByteDanceの所有下に留まりながらもアメリカでの安全保障上の懸念を解決すべく、事業の多くを独立部門として運営したり、機能の一部を外部機関の監視下に置いたりすることを提案しているとロイターが報じています。

2021年、ジョー・バイデン大統領は前任者であるドナルド・トランプ元大統領による「アメリカでのTikTok使用を禁止する大統領令」を撤回しました。しかし、バイデン政権とTikTokの間でも安全保障上の懸念をめぐる交渉が続けられており、TikTokはアメリカ政府側に「TikTokがアメリカ市民の個人情報にアクセスすることはできず、そのコンテンツが中国共産党や中国政府の影響下にある他の団体によって操作されることはない」ことを保証するよう求めてきました。

TikTokの内情に詳しい情報筋によると、同社はOracleがTikTokアプリのユーザーデータをアメリカ国内のサーバーで保管することに合意することで、「TikTokがアメリカ市民の個人情報にアクセスすることはできない」ことを証明しようとしている模様。さらに、データ保護とコンテンツモデレーションに関する決定を監督するデータセキュリティ部門を設置することで、「TikTokのコンテンツが中国共産党や中国政府の影響下にある他の団体によって操作されることはない」ことを証明しようとしているそうです。これらの取り組みに関わる部門を設立するために、TikTokは15億ドル(約2000億円)ものコストを費やしていると情報筋は語っています。

これらの提案にもかかわらず、アメリカ国防総省連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)を含む一部の政府関係者は、依然としてTikTokとの安全保障取引に反対しているそうです。反対している関係者は、TikTokが中国で配信されている短編動画アプリ「Douyin」の運営元でもあるByteDanceの技術に依存したままであるため、TikTokユーザーは引き続き脆弱であると指摘しています。


こうした指摘に対処するため、TikTokはアメリカ政府に対して新しい監視レイヤーを提供することも提案しています。TikTokの技術インフラストラクチャーがByteDanceから分離されていることを証明するため、Oracleに「TikTokの外観を決定するアプリコード」と「検索・オススメなどの機能を提供するサーバーコード」の両方を審査させることも計画している模様。審査はOracleのエンジニアが訪問する透明性センターで行われ、この透明性センターの最初のひとつは2023年1月にアメリカのメリーランド州に開設される予定となっています。

さらに、TikTokはByteDanceから独立したデータセキュリティ部門をアメリカで運営するための理事会設立もアメリカ政府側に提案しています。この部門はアメリカのシークレットサービスで働いていたことのあるAndrew Bonillo氏が暫定的に率いており、アメリカとのセキュリティ協定が成立するまでは、TikTokの最高経営責任者であるShou Zi Chew氏に進捗報告が行われることとなっているそうです。


情報筋によると、このデータセキュリティ部門の取締役会は対米外国投資委員会(CFIUS)によって選出された3名により構成される予定で、ByteDanceはデータセキュリティ部門の運営費を負担するものの、取締役会の選出や決定に対する権限は一切持ちません。

加えて、TikTokは独立した監査人・監視人を雇うことも計画しており、監査人・監視人はTikTokから報酬を受け取ることとなるものの、監査内容はCFIUSに報告されることとなるそうです。これらの役割について、TikTokは企業やコンサルタント会社に提案依頼書を既に送付しており、この回答期限は2023年1月前半に設定されているとのこと。

この報道に対して、TikTokの広報担当者は具体的なコメントを避けているものの、同社がCFIUSに提出したセキュリティ上の懸念に対する解決策は「包括的なものである」と説明しています。さらに、2022年の夏の終わり以降、アメリカ政府と「協定案の中身について議論を行ったことはない」と説明しながらも、「我々は過去1年間、ソリューションの実装にかなりの進捗があったと感じています。セキュリティ上の懸念を払拭するために、協定を完了させることを楽しみにしています」と述べました。

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in モバイル,   ソフトウェア,   セキュリティ, Posted by logu_ii

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