イーロン・マスクはTwitterの運営を楽観視しているものの自身の大規模コスト削減がなければ「年間4000億円のマイナスのキャッシュフロー」に直面していただろうと主張

Twitterを買収して同社のCEOに就任したイーロン・マスク氏は、大規模な人員削減で従業員数を7500人から2700人まで激減させたり、アカウント名の横に青色チェックマークで表示される認証済みバッジを有料で販売したりといった大胆な収益改善策を実施しています。マスク氏はこの収益改善策がなければ、Twitterは「年間30億ドル(約4000億円)のマイナスキャッシュフロー」に直面していただろうと主張しました。

Elon Musk blames cost cuts at Twitter on ‘$3bn negative cash flow’ | Financial Times
https://www.ft.com/content/3ec97c05-eaea-4c7f-bdf4-50547fff3c19

Elon Musk blames Twitter cost cuts on “$3 billion negative cash flow” | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/12/elon-musk-blames-twitter-cost-cuts-on-3-billion-negative-cash-flow/

マスク氏はcomma.aiのジョージ・ホッツ社長が主催するTwitterスペースに参加し、世間からは賛否両論あるTwitterの収益改善策について説明を行いました。

マスク氏は自身が買収した際のTwitterの状況を「我々は緊急火災訓練を行っているようなものです。Twitterはエンジンに火が付いたまま高速で地上へと落下していく操縦かんの効かない飛行機のようなものでした」と説明しています。さらに、「時に不純に見えるかもしれないような行動を私が取ったのはそのためです」と語り、マスク氏はTwitterで行った収益改善策は、Twitterの状況を鑑みると仕方のないものだったと主張しました。

マスク氏によると、Twitterは2023年に約50億ドル(約6600億円)の支出を計画していたそうです。なお、Twitterが非公開化される前の2021年の収支報告書によると、同社は2021年に56億ドル(約7400億円)の支出を記録しており、2億2100万ドル(約290億円)の純損失を計上しています。

もしもマスク氏が買収後に収益改善策を行わなかった場合、「Twitterのネットキャッシュアウトフローは2022年の60億ドル(約7900億円)から、2023年には65億ドル(約8600億円)になっていたでしょう。これはTwitterが買収資金のために125億ドル(約1兆6500億円)の負債を抱え、金利上昇の中で年間約15億ドル(約2000億円)の債務返済が必要だったことが一因です。Twitterには10億ドル(約1300億円)の現金があるのだから、いいことはありません。そのため、私は狂ったようにコスト削減のために5週間を過ごすこととなりました」とマスク氏は言及。

マスク氏の発言に対して、経済メディアのFinancial Timesは「マスク氏の発言はTwitterが2023年の年間売上高で約30億ドルを目指していたことを示唆しています。Twitterの2021年の年間売上高は50億ドルだったため、2023年の売上が20億ドル(約2600億円)も低くなることを示唆しています。これは明らかに広告収益の減少が影響しており、マスク氏がTwitterを買収して以降、同社の不安定な状況から広告主がTwitterから離れています」と指摘しました。

マスク氏は買収以前からTwitterの収益状況の悪さについて言及してきましたが、Twitterスぺースの中で「バーンレートを大幅に改善し、サブスクライバーからの収益を増やすための変更を加えることで、Twitterの来年は大丈夫だと思います」と言及し、自身の収益改善策によりTwitterの経営状況は持ち直したとアピールしています。