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顔識別技術でガールスカウトの母親が「裁判中の弁護士事務所の弁護士」だと判明しイベント会場から追い出されてしまう

by Kevin Poh

ある母娘がガールスカウトの集まりでクリスマスイベントの舞台を観劇しようとしたところ、母親だけ警備に呼び止められて会場から追い出されてしまいました。その理由について会場の運営会社は、母親が自社の訴訟を担当している弁護士事務所に所属する弁護士だからだと説明しました。

MSG’s Facial Recognition at Radio City Gets Girl Scout Mom Kicked Out – NBC New York
https://www.nbcnewyork.com/investigations/face-recognition-tech-gets-girl-scout-mom-booted-from-rockettes-show-due-to-her-employer/4004677/

Girl Scout mom banned from Radio City Rockettes in MSG crackdown
https://nypost.com/2022/12/20/girl-scout-mom-banned-from-radio-city-rockettes-in-msg-crackdown/

顔識別技術で勤務先が特定され、それを理由にイベント会場を追放されてしまったのは、弁護士のケリー・コンロン氏です。同氏は、娘のガールスカウトの遠足の一環として、ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールを訪れ、そこでクリスマス・スペクタキュラー・シ​​ョーを見ようとしました。

しかし、金属探知機のゲートを通過した直後に警備員に呼び止められて、ビルから退去させられてしまいました。そのため、コンロン氏の娘や他の親子はショーを見ることができましたが、コンロン氏は雨の中を90分間も歩き回らなければなりませんでした。

by Matthew McDermott

ゲート通過後、コンロン氏は「そこの灰色のスカーフを巻いた黒髪の女性」というインターホン越しの声を聞きましたが、誰にも止められなかったのでそのまま進んだとのこと。しかし、すぐに警備員がコンロン氏に向かって歩いてきて、身分証の提示を求めました。

コンロン氏はその時のことを「警備員たちは、『私たちの識別にあなたが引っかかったんです』と言ったと思います。彼らは私が言わなくても私の名前や所属している弁護士事務所を知っていました。そして彼らは私に、ここにいることは許されないと言ったんです」と話しています。

施設には、「ラジオシティ・ミュージックホールでは、皆様の安全を確保するため、様々なセキュリティ対策を行っています。また、生体認識情報を利用した顔識別も行っています」と書かれた貼り紙があります。

by Matthew McDermott

伝えられるところによると、コンロン氏が所属する弁護士事務所のDavis, Saperstein & Salomonは、ラジオシティ・ミュージックホールを運営しているマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)傘下のレストランの人身傷害訴訟に携わっているとのこと。

コンロン氏は直接MSGを相手にした訴訟を担当しておらず、会場があるニューヨークで業務をしたこともありませんでしたが、弁護士事務所に所属する他の弁護士と一緒に出入り禁止にされてしまいました。


MSGの広報担当者は声明の中で、「MSGは、当社に対する積極的な訴訟を追及している弁護士は、その訴訟が終わるまで当社の会場のイベントに出席することを禁止するという、単刀直入なポリシーを制定しています。この方針が一部の人にとって残念なものであることは承知していますが、訴訟が本質的に不利な環境を作り出している事実を無視することはできません。MSGはこのポリシーを弁護士に通知しており、Davis, Saperstein & Salomonには2回通知を送っています。本件では、事前に入場が拒否されることを知らされていたにもかかわらず参加することを選択した弁護士1人だけが入場できず、ガールスカウトを含むほかのメンバーは全員ショーを楽しむことができました」とコメントしました。

一方、コンロン氏は「私は娘をクリスマスショーに連れてきた母親に過ぎませんでした。外で待っていたときは、恥ずかしかったし悔しかったです」と話しました。また、勤め先のDavis, Saperstein & Salomonのパートナーであるサム・デイビス氏は「この計画は、数十億ドル規模のMSGのネットワークに対して、あえて訴訟を起こそうとしている敵対者に集団的な罰を与えるための口実です」と話しました。

デイビス氏とコンロン氏。

by J.C.Rice

デイビス氏は目下、MSGの酒類販売ライセンスについて、ニューヨーク州酒類局に異議申し立てをする準備を進めています。デイビス氏は「MSGが保有する酒類ライセンスは、安全上の脅威となる破壊的な人物がいない限り、一般の人々の入場を許可することを求めています。母親を娘やガールスカウトから引き離すことや、それを訴訟を口実にして行うのはまったくばかげています。また、彼らがそのために顔認識を使っているという事実は恐ろしいし、このようなことは非アメリカ的です」と話しました。

一方MSGの担当者は、「安全が最優先であり、顔認識は手段の1つに過ぎません。また、当社は私たちのポリシーがニューヨーク州酒類局の規定を含む全ての適用法を順守していると確信しています」と話しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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