セキュリティ

中国政府がスマホ追跡や顔認識などを駆使し抗議者を追跡し自宅を特定、大規模な監視が裕福な都市の中流階級の人々に向けられたのは初めて


厳格な新型コロナウイルス感染症対策(COVID-19)へ抗議活動を行った中国の国民が、過去10年をかけて中国政府が構築してきた強力な監視ツールにより正確に追跡されていることがニューヨーク・タイムズより伝えられました。政府がどのようなツールを使い、どのように人々を追跡しているのかについて、ニューヨーク・タイムズが解説しています。

How China’s Police Used Phones and Faces to Track Protesters - The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/12/02/business/china-protests-surveillance.html

中国の警察は街角やビルの入り口に何百万台ものカメラを設置し、強力な顔認識ソフトを導入して人々を追跡しています。政府が採用するソフトウェアの1つ「Face++」は以下のように性別や髪型、服装、車の種類などを特定し、これらの情報をもとに警察当局が個人を特定することができます。

by Gilles Sabrié

顔認識による個人追跡システムに加えて個人の携帯電話を基地局から追跡するシステムも配備されており、たとえ顔を隠していたとしても、追跡を免れないことがあるそう。実際にCOVID-19のデモに参加した張氏も、変装のかいなく警察に見つかってしまったといいます。

感染症対策のデモに目出し帽とゴーグルを付けて参加したという張氏は、途中私服警官に尾行されそうになったとのこと。茂みに隠れて上着を取り換え、その場を難なくしのいだ張氏ですが、翌日に警察から「スマートフォンがデモの現場で検出された」という電話がかかってきたそうです。その後警察から直接取り調べを受けた張氏は「二度と抗議活動に参加しないように」と警告されたあと解放されたと、ニューヨーク・タイムズの取材に対し語りました。


張氏のような事例は同様のデモに参加した人々の多くが語っており、張氏と同じような警告を受けたとのこと。また、スマートフォンの中身を見られ、多くの人が抗議活動の情報配信や海外への画像拡散に使われていた「Telegram」や「Signal」のようなアプリの存在を確認されるとも話しているそうです。抗議者たちは自分たちがどのようにして突き止められたのかに困惑し、さらなる追跡を恐れ、上記アプリを敬遠し削除しているとも伝えられています。

監視システムの構築は中国国内外で周知の事実ですが、これらは反体制派や少数民族、出稼ぎ労働者を追跡するために使われるという認識が国内にあるため、「何も悪いことをしていなければ、隠すことはない」という考え方のもと、多くの人がこのシステムを支持しています。しかし、張氏のような中国の最も裕福な都市に住む中産階級に監視の目が正面から向けられたのは初めてのことであり、国民の間で不安が高まりつつあるといいます。多くのデモ参加者にとって身元が特定されることのショックは大きく、それだけで政府の威嚇戦術として機能しているとニューヨーク・タイムズは分析しています。

ニューヨーク・タイムズは「今回のデモ行進は、1989年の天安門事件以来、最も広範で公然たる政治的抗議行動です。今や中国当局はハイテクを駆使して主催者や不満分子を狙い撃ちし、拘束することによって、不安を封じ込めることができます。信奉者や野次馬は厳しい脅しを受け、活動から離れていくでしょう」と述べました。

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in セキュリティ, Posted by log1p_kr

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