メモ

汚れた空気は死を招くが「空気清浄機を使えばいい」わけでもない、その理由とは?


「汚れた空気」による死者数は年間700万人に上ります。その多くは、固形燃料を換気不良の場所で使用する機会が多い発展途上国の事例ですが、イギリスでも年間2万6000人から3万8000人が亡くなっているとのこと。新型コロナウイルスの世界的パンデミックもあり、空気清浄機の需要が高まっていますが、必ずしもいいことばかりではないという指摘があります。

Air purifiers: indoor pollution kills but many devices are ineffective and some may even cause harm
https://theconversation.com/air-purifiers-indoor-pollution-kills-but-many-devices-are-ineffective-and-some-may-even-cause-harm-196075


空気清浄機には、汚れをフィルターに吸着させるオーソドックスなもののほか、汚れを帯電させて集めるものもあります。いずれも、屋内の空気汚染物質の除去を期待されていますが、むしろ、汚れを帯電させるときに、有害物質であるオゾンを発生させて室内に排出する事例が、イギリス政府の緊急時科学諮問グループ(SAGE)により指摘されています。

EMG: Potential application of air cleaning devices and personal decontamination to manage transmission of COVID-19, 4 November 2020 - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/publications/emg-potential-application-of-air-cleaning-devices-and-personal-decontamination-to-manage-transmission-of-covid-19-4-november-2020

またSAGEは、フィルターで浄化する方式の空気清浄機についても「正しく使用すれば有益」と評しつつも、「十分に換気された空間では限られた効果しか得られず、特定のリスクがない限りは必要ない」と結論づけています。


ヨーク大学のニコラ・カースロー教授は、空気清浄機の問題について、イギリスにおいては規制がなくメーカーの主張する数字しかないと主張しました。

また、メーカーが行うテストは実験室などの整った条件ばかりで、二次汚染物質問題も無視されており、消費者が負わされている責任が大きすぎると指摘しています。


カースロー教授は空気清浄機をもっと使いやすいものにするため、安全性と有効性を示すためのテストを行う独立組織が必要であり、そのテストは現実的な使用環境に近い屋内で行うべきだと行政に向けて提言。また、空気清浄機が古くなっても有効かどうかも調査すべきだと述べました。

一方で、メーカーに対しても、操作方法と保守方法について明確で簡潔な助言を行う必要があり、消費者が複数機種を簡単に比較できるように動作内容をチェックリスト形式で示すことを求めました。

なお、カースロー教授は「ほとんどの家庭では自然換気で十分」であり、まずは空気清浄機が必要かどうかを見極める必要があると述べています。簡単に判断するための方法の1つは二酸化炭素モニターの使用で、室内の二酸化炭素濃度が1500ppm以上であれば換気が不十分なので、空気清浄機の導入が選択肢に入ります。

ただ、空気清浄機は一時的な解決に過ぎず、ほとんどの建物で最善の解決法は、屋外から入ってくる汚染物質を除去すること、十分な換気が行えるように開口部を確保することだと述べました。

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in メモ, Posted by logc_nt

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