イーロン・マスクが主張する「Twitterファイル」と「ハンター・バイデンのノートPC事件」について誤解が広がっている

2022年12月3日に、Twitterの内部情報から抜粋した暴露情報「Twitterファイル」がジャーナリストのマット・タイービ氏によって公開されました。この「Twitterファイル」ではジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデン氏の汚職疑惑をTwitterが隠していたことが明らかになったのですが、「Twitterファイル」に関する誤った臆測が広がっている現状をテクノロジー関連ブログ「Techdirt」の編集者であるマイク・マズニック氏が指摘しています。

Hello! You’ve Been Referred Here Because You’re Wrong About Twitter And Hunter Biden’s Laptop | Techdirt
https://www.techdirt.com/2022/12/07/hello-youve-been-referred-here-because-youre-wrong-about-twitter-and-hunter-bidens-laptop/

「Twitterファイル」はタイービ氏が数千件のTwitter内部情報から抜粋した暴露情報で、Twitter内部で民主党支持層の力が圧倒的に強くなっていたことや、ハンター・バイデン氏の汚職疑惑をTwitterが隠そうとしたことが明らかになっていました。「Twitterファイル」の詳しい内容は、以下のリンク先で確認できます。

イーロン・マスクお墨付きの社内文書「Twitterファイル」でTwitter社内で民主党員の削除要請を優先的に受理しバイデンの息子の汚職を隠していた実態が発覚、今後は「シャドウバン」についても暴露予定 - GIGAZINE

ハンター・バイデン氏の汚職疑惑は、修理工場でハンター・バイデン氏の所有していたノートPCが発見されたことに端を発しています。発見されたノートPCにはハンター・バイデン氏のプライベートな写真などに加えて、汚職の証拠を示すデータも含まれていました。アメリカのメディア「ニューヨーク・ポスト」は、ノートPCから発見されたデータを根拠にハンター・バイデン氏の汚職疑惑を伝える記事を2020年10月に公開。しかし、Twitterは「ハッキングによって入手された情報の拡散を禁止する」というポリシーに従って、ニューヨーク・ポストの記事を非表示に設定しました。

「Twitterファイル」では、上記のTwitterによる非表示措置について、「Twitterはニューヨーク・ポストの記事が『ハッキングによって得た情報を根拠にしている』として非表示にしたが、当該情報がハッキングによって得られたものであることを示す証拠はTwitter社内で共有されていなかった」と論じています。この点について、マズニック氏は「ニューヨーク・ポストの記事が投稿された時点では、ハンター・バイデン氏のノートPCが本物であることを示す根拠は乏しかった」と指摘。加えて、「Twitterファイル」で「民主党支持層の力が強かったことが汚職疑惑記事の非表示に影響していた」と論じられている点について、「『Twitterファイル』に含まれる内部メールを読んだところ、Twitter社員が政治的動機について語っているような文章は見つけられず、Twitterの信頼性を確保することに注力していたことが見てとれます」と主張しています。

さらに、マズニック氏はTwitterが汚職疑惑記事を非表示にした日のGoogleにおける「Hunter Biden(ハンター・バイデン)」というワードでの検索回数を示し、Twitterによる非表示によってハンター・バイデン氏への注目はむしろ増したと指摘。結果的にTwitterの対応はハンター・バイデン氏の汚職疑惑を拡散することになったと主張しています。

「Twitterファイル」で明かされた「Twitter内部では民主党支持層の力が圧倒的に強い」という状態について、違法状態であると主張する意見も現れていますが、マズニック氏は「企業の政治的思想が左右に傾くことは違法ではなく、問題ですらありません」と指摘しています。また、「Twitterファイル」を根拠にした「政府や民主党員がハンター・バイデン氏の汚職疑惑記事を非表示にするように働きかけていた」という主張に対しては、そもそもタイービ氏が「ノートPCの話題に政府が関与した証拠はありません」と述べていることを示して読み違えだと一蹴しています。