朝の目覚めやその後の覚醒度を改善する「4つの要因」が双子を用いた研究データで明らかに
朝にしっかり目を覚まして覚醒状態を維持できるかどうかは、その日の生産性や幸福と直結する問題です。合計1000人以上の被験者を2週間にわたり追跡したデータから、朝の目覚めや覚醒度に影響を及ぼす「4つの要因」が明らかになりました。
How people wake up is associated with previous night’s sleep together with physical activity and food intake | Nature Communications
https://doi.org/10.1038/s41467-022-34503-2
These 4 Key Things Can Help You Wake Up Feeling Great, Scientists Say : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/these-4-key-things-can-help-you-wake-up-feeling-great-scientists-say
研究チームは、1日中覚醒を維持できないことが多くの交通事故や労働災害といった問題を引き起こしていると指摘。睡眠不足やそれに伴う覚醒状態の問題は生産性の低下、医療コストの増加、年間数千人の死亡者といった悪影響を引き起こしており、先進国における国内総生産の約2%を喪失させているとのこと。
そこで研究チームは、多くの双子を含む1000人以上の被験者を対象に、2週間にわたり食事・運動・睡眠などを追跡した「Personalized Responses to Dietary Composition Trial(PREDICT1)」という縦断研究のデータを用いて、朝の目覚めや覚醒度に影響する要因について研究しました。双子を含むデータを用いることにより、研究チームは遺伝的要因による変動を除外することができたと説明しています。
PREDICT1の被験者は栄養組成が異なるさまざまなタイプの朝食を食べ、それ以外の食事も何を食べたのか専用アプリで記録したほか、定期的に自己申告で覚醒度を報告しました。また、継続的に血糖値を測定する持続グルコースモニタリング(CGM)を装着していたほか、加速度計のついた腕時計を着けて1日の運動量も測定したとのこと。
その結果、朝の目覚めや覚醒には以下の要因が影響していることがわかりました。
◆1:睡眠
被験者は通常よりも長い時間眠ったり、通常の起床時間よりも遅く起きたりした日に覚醒度が高くなりました。
◆2:運動量
前日の昼間に運動量が多いと睡眠の途中で起きてしまうことが減り、朝の覚醒レベルが高くなった一方で、夜間の運動量が多いと翌朝の覚醒レベルの悪化と関連していました。
◆3:朝食
炭水化物の多い朝食を食べると覚醒レベルの向上につながりましたが、同じカロリーでもタンパク質が多い朝食を食べた場合、逆に覚醒度が低くなっていたとのこと。
◆4:血糖値
朝食代わりにブドウ糖を含むドリンクを飲んで急激に血糖値を上げると、その後の覚醒度は顕著に低下しました。
なお、上記以外では被験者の年齢や気分なども覚醒度を左右する要因であることがわかりましたが、研究チームは自分自身で管理できる上記の要因に焦点を当てています。
今回の研究に用いられたデータは、覚醒度の申告が自己申告に基づいている点などに改善の余地があるものの、標準化された食事や加速度計による運動量測定などを使っており、質問のみに依存するほとんどの研究よりも優れているとのこと。
研究チームは、「私たちの結果は覚醒に関連する要因を明らかにしており、これらの要因は多くの場合固定されていません。実際のところ、覚醒に関連する要因の大部分は変更可能であり、行動介入ができるというわけです」と述べました。
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