iOSアプリではアプリ内課金の平均価格が1年間で40%も上昇していることが判明、一体なぜ?
スマートフォン向けアプリには「アプリ内課金(IAP)」という仕組みが存在し、ユーザーがアプリ内で追加コンテンツやサブスクリプションサービスなどを購入できるようになっています。新たに、アプリ関連の市場調査企業であるApptopiaの分析により、「iOS向けアプリではアプリ内課金の平均価格が2021年~2022年の1年間で40%も上昇した」ことが判明しました。
The average price of in-app purchases have increased 40% on iOS and 9% on Google Play since last year
https://blog.apptopia.com/app-store-iap-prices-are-increasing
Apple’s in-app purchase prices jumped 40% year over year, likely tied to privacy changes | TechCrunch
https://techcrunch.com/2022/09/13/apples-in-app-purchase-prices-jumped-40-year-over-year-likely-tied-to-privacy-changes/
2021年7月~2022年7月におけるアプリ内課金の平均価格の推移を、iOS向けアプリストアのApp StoreとAndroid向けアプリストアのGoogle Playで比較したグラフがこれ。Google Playでは約9%の上昇幅であるのに対し、App Storeではなんと約40%も平均価格が上昇していることがわかります。
アメリカでは消費者物価指数が2021年~2022年にかけて8.5%上昇したため、アプリ内課金の平均価格が上昇していることは自然な傾向といえます。しかし、iOSのアプリ内課金の平均価格上昇は2022年に深刻なインフレが発生する前から進行しており、Google PlayとApp Storeで上昇幅が違うことも不可解です。Apptopiaはこれらの疑問点について、インフレとは別の要因があると指摘しています。
Apptopiaがアプリ内課金の平均価格上昇の原因ではないかと指摘するのは、Appleが2021年に導入した新たなプライバシー保護施策「App Tracking Transparency(ATT)」です。ATTでは、広告識別子のIDFAを使ったユーザー行動の追跡にユーザーからの許可を求めており、ターゲティング広告の効果が低下して「広告業界のエコシステムを一転させる」ともいわれていました。
ATTの導入はターゲティング広告の効果を弱め、新規顧客の獲得コストを上昇させることで中小企業に打撃を与えていると報じられている一方、ATTの制限を受けないAppleの自社製広告サービスは急成長を遂げています。その結果、国の規制当局が競争法違反の疑いでATTの調査を開始しているとのことです。
Appleがサードパーティーによるユーザー追跡を困難にした「ATT」が規制当局に目を付けられている理由とは? - GIGAZINE
Apptopiaは、ATTの導入で新規ユーザーの獲得コストが増加した結果、開発者がアプリ内課金の値上げに踏み切ったのではないかと推測しています。この仮説を裏付けるものとして、モバイルマーケティングデータ分析企業・Adjustのデータを基に、iOSアプリの「アプリ内課金の平均価格」(青線)と「1インストールあたりの広告コスト」(緑線)を比較したグラフがこれ。確かに、iOSアプリのアプリ内課金の平均価格上昇は1インストールあたりの広告コスト上昇と相関があるように見えます。
また、ゲームのスキン購入といった「1回限りのアプリ内課金」(濃青線)と、月額または年額サブスクリプションといった「継続的なアプリ内課金」(薄青線)の平均価格上昇を比較したものが以下。1回限りのアプリ内課金の平均価格は36%上昇している一方、サブスクリプションの平均価格上昇は19%の増加にとどまりました。Apptopiaはこの結果から、「パブリッシャーは獲得コストを削減するために、価値を提示してより長く顧客を引きつけようとしています」と述べました。
Apptopiaは「これらの値上げ率があまりに高いと思うなら、絶対数で見るとこれらの値上げはそれほど高額ではないと覚えておく必要があります」と述べ、iOSアプリにおけるアプリ内課金の価格帯ごとに割合を示したグラフも提示しています。インストール数が1万超の非ゲームアプリをまとめた以下のグラフを見ると、2021年でも全体の70%近くが「0.49~9.99ドル(約70~1430円)」であり、50ドル(約7000円)以上のアプリ内課金を実装しているのは全体の6%未満であることがわかります。
Google PlayのAndroid向けアプリについて、アプリ内課金の価格帯をまとめたグラフがこれ。全体的にiOSアプリより高く、2021年の時点では0.49~9.99ドルのアプリが50%未満、50ドル以上のアプリが20%超となっています。
なお、アプリのカテゴリー別にアプリ内課金の平均価格上昇率を示したグラフが以下。App Storeのアプリではナビゲーション、旅行、写真&動画、スポーツ、書籍などの価格が上昇し、Google Playのアプリではフード&ドリンク、美容、イベント、本&参考書、生産性アプリなどの価格が上昇したとのことです。
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in モバイル, ソフトウェア, Posted by log1h_ik
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