開発者向けサービス「Heroku」が無料プランの段階的廃止を発表

by Ian Brown

GitHubと連携して用いられる開発者向けサービス「Heroku」が、「複数の重要な更新」について告知しました。告知内容には「従来の無料プランを廃止し、有料の製品のみになる」旨も含まれており、悲しみや不満の声が上がっています。

Heroku’s Next Chapter | Heroku
https://blog.heroku.com/next-chapter

Removal of Heroku free product plans | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=32594533

Herokuは2022年8月25日に、大型アップデートおよび今後の方針を発表しました。発表された主な項目は以下の通り。

・GitHubでロードマップを公開
Herokuは、透明性を高めることを目的としてロードマップをGitHubで公開しました。Herokuの親会社であるSalesforceは、ロードマップへのフィードバックやコメントを受け取ってユーザーと交流したり、プロジェクトの可能性を注意深く見守ることができたりといった効果を期待しているとのこと。

・無料プランを廃止
Herokuの無料プランは悪用されるケースがあり、それを管理するのに多大な労力を費やしているとのこと。一方で、Herokuから得られる開発者の利益に対する評価は高く、その利益を維持しつつセキュリティや信頼性の向上、コンプライアンスの優先が求められています。そのため、詐欺や悪意のあるアカウントを排除した上で、ユーザーにクリティカルな機能を提供することにリソースを集中する目的で、Heroku Dynos、Heroku Postgres、Heroku Data for Redisといったサービス・機能に関して無料プランを段階的に廃止し、非アクティブなアカウントの削除が行われます。

非アクティブなアカウントと、1年以上非アクティブ状態にあるアカウントに関連するストレージの削除は、2022年10月26日から開始するとのこと。また、無料プランの提供停止は2022年11月28日以降の予定です。現在無料のアプリやデータベースを使用していて、2022年11月28日までに有料プランへアップグレードしなかった場合、データベースは削除されます。

・学生と非営利団体のサポートプログラムを開始
Salesforceは、学生が自分の可能性を実現するために必要なリソースと経験を学生に提供することに、積極的に取り組む姿勢を示しています。学生プログラムの詳細については、2022年9月に開催されるSalesforceのDreamforceカンファレンスで発表される予定とのこと。また、Salesforceは非営利コミュニティとも密接に協力しており、学生及び非営利団体をサポートする今後のプログラムについて順次発表していくそうです。

・オープンソースコミュニティへの貢献を促進
アプリケーションのソースコードから動作環境のコンテナを作成するCloud Native BuildpacksにHerokuは影響力のある貢献をしており、Salesforceは「この貢献を誇りに思っている」と語っています。ゼロからソースコードを書かずにコンテナイメージを作成できる Buildpacksのプロジェクトのソフトウェア保守者として、 Buildpacks の使用を拡大し、ソースコードをオープンソース化していくプロジェクトを続けて行く姿勢を発表しています。

Herokuの発表に対し、Twitterでは「長年Herokuを使用していますが、残念な動きだと言わざるをえません」「この更新を機に、別の開発者向けサービスに乗り換えます」など、無料プランの廃止や、過去のプロジェクトを大きく更新する必要性などを嘆く声が寄せられています。また、Hacker Newsでも同様に無料プランの変更を嘆く声があり、「会社でHeroku Dynosのみを必要としていたので無料プランを使用していましたが、有料プランに移行すると、アプリ開発のコストが大幅に増加します。無料プランのユーザーへの代替案は用意されておらず、全ての人のコストが大きく増加するはずです」とHerokuのユーザーが不満を述べています。