「選挙関連メールをスパム認定されないようにする」というGoogleの提案が承認、「Gmailが共和党議員のメールをより多くスパム認定している」という調査結果が原因か
現地時間の2022年8月11日(木)、アメリカの独立規制機関のひとつである連邦選挙委員会が、選挙運動に関する電子メールがスパム認定されないようにするというGoogleの新しい提案を承認しました。
Gmail is now officially allowed to spam-proof politicians’ emails - The Verge
https://www.theverge.com/2022/8/11/23301554/google-gmail-spam-filters-republicans-gop-trump
Gmail gets approval to move forward with plan to ruin its spam filter
https://www.androidpolice.com/gmail-political-spam/
Gmail pilot will exempt political emails from spam filter - 9to5Google
https://9to5google.com/2022/08/11/gmail-political-emails-spam/
Google gets to flood US Gmail inboxes with political spam • The Register
https://www.theregister.com/2022/08/11/google_political_spam/
2022年6月、Googleは「選挙の候補者」「政党委員会」「選挙管理委員会」などから送信されるメールをGmailのスパム検出システムから除外するプログラムを計画していることが報じられました。Googleはこの計画を進めるうえで連邦選挙委員会の承認を得る必要はありませんでしたが、このプログラムが既存の選挙関連規則に違反する可能性があるとして、連邦選挙委員会にプログラムの精査を依頼しました。
そして8月11日、連邦選挙委員会はGoogleの計画が合法であることを確認し、承認しています。選挙関係者がGmailのスパムフィルターを回避するには、該当メールをシステムに登録する必要があります。メールはGmailのポリシーに違反しない限りスパム検出を免除され、迷惑メールフォルダに自動で振り分けられることがなくなります。代わりにユーザーには目立つように通知が表示され、継続して受信するか以後フィルタリングするかを選べるようになるとのこと。
Googleによる選挙関連メールをスパムフィルターから外すという施策は、「Gmailでは共和党員によるメールを用いた資金集めの施策が、民主党員による同様のメールに比べて不釣り合いに多くスパム認定されている」ということが調査により判明した直後に発表されたものです。この調査結果が発表されたのち、共和党派はGoogleを批判する声明を発表。そして、Googleの最高法務責任者であるケント・ウォーカー氏を招き、国会議事堂で非公開の会議を実施し、Gmailのスパムフィルターに関する説明を促しました。
なお、共和党の関係者が集めた政治献金は、第1四半期(1~3月)と比べて第2四半期(4~6月)には12%以上も減少していたとThe New York Timesは報じています。共和党への寄付額が減少していた一方で、民主党関連団体への寄付額は21%以上増加していました。通常、選挙期間が近づくにつれ少額の寄付が増えるため、第2四半期に政治献金総額が減少したことは「異例のこと」だそうです。
この政治献金総額の減少は、「Gmailのスパムフィルターは共和党派のメールをより多くブロックしている」という調査結果と相まって、多くの共和党派議員を刺激することとなりました。共和党派のジョン・テューン上院議員を含む20人以上の共和党議員が、Googleのような電子メールサービスを提供するプロバイダーがアメリカ国内での選挙関連メールをアルゴリズムで分類することを禁止する法案を提出しています。
一方で、民主党全国委員会は「Googleの提案は共和党員にとっての恩恵であり、Gmailを不正な資金調達戦術に解放する行為である」と批判しています。また、連邦選挙委員会に対して提出された一般からのコメントも、そのほぼすべてが選挙関連メールのスパム除外に批判的な内容ばかりだそうです。連邦選挙委員会のコミッショナーを務めるエレン・L・ワイントローブ氏は、11日に開催された公開会議の中で「これは政治委員会にしか提供されない、政治委員会独自の利益であることに、私は納得がいきません」と語りました。
なお、Googleの広報担当者であるホセ・カスタニェーダ氏は、The Vergeに対して「パイロットプログラムが目標を達成していることを確認するため、システムのロールアウト後もフィードバックを監視し続けます」とコメントしています。
・関連記事
右翼候補からの募金メールをスパムとしてマークしてしまうGmailのスパムフィルターをめぐるGoogleと圧力団体の知られざる攻防 - GIGAZINE
Googleが政治組織から発信されたメールを自動スパム検出から外す「特例措置」を設けたという報道 - GIGAZINE
Gmailの「迷惑メールブロック機能」には制限があると判明、Googleは制限緩和を検討中 - GIGAZINE
GmailやiPhoneのメールアプリでスパムからのトラッキングを防ぐための方法とは? - GIGAZINE
複数のGmailユーザーが「自分のアドレスからスパムメールが送信されている」と訴える - GIGAZINE
Gmailのわずか2クリックで迷惑メール自動振り分けを設定可能な新機能の使い方 - GIGAZINE
・関連コンテンツ