月間アクティブユーザー1億人超のゲームプラットフォーム「Roblox」は小児性愛者の温床だという指摘
「Roblox」はユーザーが作成したゲームを共有したり、他のユーザーが作ったゲームを遊んだりできるオンラインプラットフォームです。自分でカスタマイズしたアバターで遊べることから、アメリカでは多くの子どもたちがRobloxのアカウントを持っており、月間アクティブユーザー数は1億人を超えています。ところが、そんなRobloxが「小児性愛者のための主要なプラットフォームになっている」と指摘されています。
Problems at Roblox (RBLX) - by Edwin Dorsey - The Bear Cave
https://thebearcave.substack.com/p/problems-at-roblox-rblx
Robloxは2006年にリリースされましたが、他の類似サービスに埋もれたこともあって当初は比較的小規模なプラットフォームでした。ところが、大量のゲームが無料で遊べる上に自作ゲームの作成・公開もできるRobloxは「ゲーム版YouTube」として子どもの支持を集めるようになり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックもあって急成長を遂げました。2021年3月には時価総額が382億ドル(当時のレートで約4兆1400億円)に達し、ニューヨーク証券取引所に上場しました。
ところが、多くの子どもが遊んでいるRobloxには小児性愛者たちも集まってきているそうで、すでに数多くの犯罪者が起訴されています。たとえば2020年9月、性犯罪者として情報登録されているClinton McElroyという男が、8歳の少女に対してRobloxのゲーム内通貨である「Robux」と引き換えに「性的なビデオ」を送るよう言い寄ったとして逮捕されました。
また2021年6月にはRon Machlufという男が、Robloxのチャットを「7歳~12歳の数人の少女を誘惑し、性犯罪を犯すために」使用したとして起訴されました。Machlufも少女に対し、部分的なヌード写真と引き換えにRobuxを与えていたとのこと。その後も断続的にRobloxを用いた性犯罪者が警察に逮捕されており、中にはゲーム内で少女になりすまして被害者に近づいたケースもあったと報じられています。
Robloxは自社のサポートページで、「専門的な訓練を受けた数千人のメンバーからなる大規模なチームが、ユーザーを保護し、不適切なコンテンツがないか24時間365日監視することに専念しています」と述べています。しかし、企業の有害な活動などを調査・公表しているEdwin Dorsey氏は、「これだけでは十分ではないかもしれません」と述べ、Robloxの対策はプラットフォーム内の子どもたちを小児性愛者たちから守る役に立っていないと指摘。
たとえば、2020年8月にオンラインビジネス誌のFast Companyが行った調査では、以下のようにラブホテルをイメージしたようなオンラインルームがRoblox内に作られていることもわかっています。上部には「LAY(横になる)」「HUG(抱く)」「SUCK(しゃぶる)」「CUM(絶頂する)」「Naked(裸になる)」など、みだらな行為を示す選択肢が表示されています。
また、以下の画像では「Give your partner a suck(あなたのパートナーをしゃぶってやれ)」という看板が立ったルームについて、10歳だというユーザーが「It’s a chill room(チルな部屋だよ)」とルームについて話しています。
2021年10月、Robloxは利用規約を更新して「手を握る」やその他のロマンチックなジェスチャーのアニメーションを禁止しましたが、これはあまり役に立たなかったとのこと。2022年1月にYouTubeで公開された以下の動画を見ると、Roblox内に作られたストリップクラブで大勢のユーザーがストリッパーのようなことをしている様子がわかります。子どもたちの中にはRobuxと引き換えに、オーディオ機能をオンにしてストリッパーのロールプレイをするユーザーもいるとのこと。
ROBLOX STRIP CLUBS HAVE VOICE CHAT NOW!? - YouTube
Robloxにおける小児性愛者の問題は、Roblox内でプレイできるゲームを公開している開発者コミュニティにも根付いているとのこと。2017年には「jaredpogi123kaba」というユーザーが、コミュニティフォーラムに違法な性的児童虐待サイトにリンクするコンテンツを多数投稿したことから、フォーラムが閉鎖される事態となりました。また、かつて最も優れたRoblox開発者に送られる「Bloxy賞」を受賞した「MisterObvious」というユーザーは、未成年の少女に性的なコンテンツの送信を要求したことを示すビデオ・オーディオ・テキストが明るみに出されました。
さらにDorsey氏は、Robloxの問題はユーザー側だけでなく管理者側にもあると指摘。たとえばRobloxの信頼&安全部門の管理職であるBob Pieron氏は、Twitterでカートゥーンの動物キャラクターの性的画像を投稿するアカウントや、性的なコスプレイヤーのアカウントをフォローしていることが暴露されています。
これらのRobloxにまつわる問題を暴露してきた人物の1人に、人気YouTuberのRuben Simがいます。2021年11月、RobloxはRuben Simに対して「Robloxとそのユーザーを傷つけることを目的とした違法行為を犯した」として訴訟を起こしました。Robloxの主張によると、Ruben Simは自身のアカウントがBANされているのに、他人が作成したアカウントを使用してRobloxをプレイし続けており、過激なコンテンツをYouTubeやPatreonにアップロードして資金を稼いでいるとのこと。
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これに対しRuben Simは2022年1月に公開した動画で、Robloxの元ソーシャルメディアマネージャーが動物のキャラクターや自分の写真を載せたポルノブログを運営していたと暴露。動画公開からわずか2日後、Robloxとの和解が成立しました。
また、Dorsey氏はRobloxのゲーム内通貨であるRobuxがリアルマネーと換金可能であり、アバターに着せる服などのアイテムを購入し、マーケットプレイスで再販して価格変動による利益を得られる仕組みについても指摘。これは一種のギャンブルになり得るシステムであると批判しています。
さらにRoblox内では、開発者によって文字通り「ギャンブルゲーム」が公開されており、ユーザーはRobuxを賭けてコインフリップやサイコロ、ルーレットなどのゲームでギャンブルすることが可能だとのこと。RBX Flipという人気ゲームは「オリジナルのRobloxカジノ」として宣伝されており、2021年には総額7億ドル(当時のレートで約770億円)相当のRobuxが賭けられたと主張しています。
YouTubeチャンネルのPeople Make Gamesがインタビューした情報筋によると、Robloxの闇市場はあまりにも大きいため、管理者側は反発を恐れて見て見ぬ振りをすることしかできないと証言しています。しかし、規制当局が本格的に規制に乗り出した場合、マネーロンダリングや送金サービスに関連するとされた開発者は罰則を受ける可能性があるとのことです。
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