ソーのハンマーのような「なにわのムジョルニア」を東大阪の工場が制作、その鍛造風景を見てきた
全宇宙の生命を半分にしてしまった“最凶最悪のヴィラン”サノスとの激闘で仲間を多数失い、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとともに地球を後にした雷神ソーが、今度は「神殺し」のゴアと戦いを繰り広げる映画「ソー:ラブ&サンダー」が2022年7月8日(金)に公開されます。
本作ではソーの元恋人ジェーンがソー以上の力を持つという「マイティ・ソー」として現れるのですが、その武器であるムジョルニアをモチーフにして、東大阪のハンマーメーカーがファンメイドの「なにわのムジョルニア」を制作するプロジェクトがひそかに進んでいました。無事、完成を迎えた「なにわのムジョルニア」がどのように作られたのか、その様子を追いました。
オーエッチ工業株式会社
https://www.ohnet.co.jp/
一連の流れをワンカットで追いかけたムービーはこんな感じです。冒頭に全体のダイジェストを入れています。
「ソー:ラブ&サンダー」なにわのムジョルニア制作 オーエッチ工業による鍛造工程 - YouTube
鍛造を担当するのは、工業用ハンマーでシェアNo.1のオーエッチ工業。
オーエッチ工業の常務取締役・清水成道さんによると、会社の75周年に合わせて「楽しみながらやれる仕事にチャレンジしたい」という思いがあり、もともと好きだったというヒーローものっぽい企画として、ソーのムジョルニアをイメージした「なにわのムジョルニア」を実際に制作することになったそうです。
すでにいくつか作ってみたあとだということで、炉などは準備万端の状態。まずは右手側にあるロータリー炉で材料を1200度ほどまで熱します。
中は真っ赤に光っています。フタを開けるとものすごい熱が押し寄せてきますが、担当している方によると「わりと慣れます」とのこと。
炉を見上げると、隙間からも赤い光が漏れています。
円柱状になった材料を次の工程へと流します。素材は炭素鋼S53Cだとのこと。
エアスタンプハンマーで、大きく直方体に成型していきます。
材料はタイミングによって粘り気などが違うため、足のペダルで細かく強さを調整しています。
次の工程へコンベアで運ばれていきます。
バリ抜きプレスで、鍛造した頭部のバリを抜きます。
抜かれたバリの山。バリの広がり方もばらばらで、1つ1つ個性があるというのがわかります。
さらに、縦押し横押しプレスの工程で、柄の穴を加工したり、バリを消したりしていきます。
抜かれた柄穴の残り。
その後、焼き入れの工程を経て、できあがったものがこんな感じ。本物のムジョルニアは選ばれた者だけが使える神の武器ということで実用的な形状はしていませんが、オーエッチ工業はハンマーメーカーだということで、実用も想定した形状にアレンジしています。重さは13kgほど。
鍛造時の温度や冷まし具合などによって大きさも重さも微妙に変化するということで、細かな検品が行われていました。
今回作られた「なにわのムジョルニア」頭部と、のちほど取り付けられる柄。下にあるのは、従来のオーエッチ工業の大型ハンマー頭部にムジョルニアっぽい模様を入れたものです。
鍛造を担当した製造部工場長・三好隆廣さんによると、最初は手こずったものの、2~3個作るとだいぶ慣れたとのこと。よい仕上がりになっていて、ホッとしていると話してくれました。
このあと、さらに「なにわのムジョルニア」を仕上げるべく、大成モナックで模様彫りと塗装が行われました。
<つづく>
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