サイエンス

1日でサイズが2倍になる巨大黒点が地球の方を向いている、電話回線やネットが遮断される可能性も


地球側に存在する太陽黒点は、通信障害などを引き起こす太陽フレアを発生させることがあります。NASAの科学者によると、「AR3038」と呼ばれる太陽黒点が3日間にわたり毎日2倍のサイズに膨れ上がっていると報告しており、大規模な太陽フレアが発生する可能性が日ごとに高まっています。

Giant sunspot points toward Earth: 'No need to panic,' experts say
https://www.usatoday.com/story/news/nation/2022/06/21/sunspot-solar-flare-earth-nasa/7687972001/

Giant Sunspot Has Doubled in Size in 24 Hours and It's Pointed at Earth
https://www.newsweek.com/sunspot-surface-sun-doubles-size-solar-flare-earth-1717343

A Massive Solar Flare Can Affect Everyone’s Electricity, Phones Even the Internet | Nature World News
https://www.natureworldnews.com/articles/51459/20220620/massive-solar-flare-affect-everyone-s-electricity-phones-even-internet.htm

アメリカ海洋大気庁内の宇宙天気予報局で責任者を務めるロブ・ステンバーグ氏は、「AR3038」と呼ばれる太陽黒点が1週間で巨大に膨れ上がっていると語りました。ただし、太陽黒点の大きさおよび成長率について、ステンバーグ氏は「かなり正常」と語っています。ステンバーグ氏によると、一般的に太陽黒点は時間の経過とともに成長し、段階的な成長を経て、その後崩壊するそうです。

NASAによると、黒点は太陽の他の表面部分よりも温度が低いため暗く見えます。より具体的には、太陽内の熱が表面に到達するのを妨げるように強い磁場が形成され、温度が低くなり太陽黒点となる模様。ステンバーグ氏は「簡単に説明すると、太陽黒点は磁気活動領域です」と語りました。

by Paul Stewart

太陽黒点から発生する太陽フレアは、黒点付近の磁力線のもつれ、交差、あるいは再編成により引き起こされるエネルギーの突然の爆発です。ステンバーグ氏は太陽フレアについて、「輪ゴムのねじれのようだと表現することができます。指に何本かの輪ゴムをかけてもつれさせると、最終的に輪ゴムはねじれすぎて切れます。磁場との違いはそれらが再接続することがあるという点です。この再接続の過程で、フレアが発生します」と語りました。

黒点が大きく複雑になるほど太陽フレアが発生する可能性が高くなります。今回観測された「AR3038」は以下。


NASAのゴダード宇宙飛行センターで太陽物理学部門の科学担当副所長を務めるアレックス・ヤング氏は、「AR3038」が3日間にわたり1日あたり2倍のサイズに成長しており、既に地球の約2.5倍のサイズにまで成長していると述べました。

ヤング氏は「太陽黒点は小さな太陽フレアを生成していますが、最大規模の太陽フレアというわけではありません」と語っています。なお、「AR3038」が中型の太陽フレアを生成する可能性は30%ほどで、大型の太陽フレアを生成する可能性も10%ほどあるとのことです。


NASA内のSolar Dynamics Observatoryで科学者として働くディーン・ペスネル氏は、「AR3038」について「異常に急速に成長しているというわけではなく、サイズもやや小さめであり、適度な大きさの活動領域であるといえます」と語っています。

サウスウェスト研究所の主任科学者であるアンドレス・ムニョス・ジャラミロ氏も、「AR3038」について「慌てる必要はないことを強調したいです。これは常に起こりうることで、我々はこの太陽黒点の影響を予測し、そして軽減するために我々ができるすべての準備を進めています。ただし、大多数にとっては心配するようなことは何もありません」と語っています。


ジャラミロ氏によると、太陽フレアにはさまざまなレベルがあり、A、B、C、M、Xの順に強度が高くなっていくそうです。各クラスにはさらに細かなスケールが存在しており、これは数字を使って表現されます。この数字が大きいほど太陽フレアの強度は高いということになります。

ジャラミロ氏によると、Cクラスまでの太陽フレアは規模が小さすぎて地球に目立った影響を与えることはないそうです。一方で、2番目に規模の大きな太陽フレアであるMクラスの場合、地球の極部分で通信障害が発生する可能性があります。そして、最大規模のXクラスの太陽フレアの場合、人工衛星や通信システム、電力網に影響を及ぼすレベルの通信障害が発生する可能性があり、電力不足や停電につながる危険性もあるそうです。

約11年の太陽活動周期の中で、通常は約2000回のM1クラスの太陽フレア、約175回のX1クラスの太陽フレア、約8回のX10クラスの太陽フレアが発生するそうです。なお、X20クラス以上の太陽フレアは、太陽周期の1サイクルあたり1回未満しか発生しません。

ステンバーグ氏によると、「AR3038」はCクラスの太陽フレアを引き起こしているそうで、2022年6月の第5週にはより大きな規模の太陽フレアを生成する可能性もあるとのこと。なお、6月21日(火)時点では「AR3038」が次の24時間でCクラスの太陽フレアを生成する可能性が8%、Mクラスの太陽フレアを生成する可能性が25%、Xクラスの太陽フレアを生成する可能性が10%だそうです。

なお、宇宙天気予報センターは必要に応じてアラートを送信しますが、21日の朝時点では太陽フレアに関する警告を発していません。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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