音波を体に当てるだけで体内に直接物体を3Dプリントする技術「ダイレクト・サウンド・プリンティング(DSP)」
カナダにあるコンコルディア大学の研究者らが、音波を照射することで液体を固化する技術「ダイレクト・サウンド・プリンティング(DSP)」を考案しました。DSPの研究を進めることで、切開を行うことなく人体の内部に医療用インプラントを生成することなどが期待されています。
Direct sound printing | Nature Communications
https://doi.org/10.1038/s41467-022-29395-1
How Flesh Penetrating Sound Waves Could 3D Print Implants Directly Inside You
https://hothardware.com/news/how-flesh-penetrating-sound-waves-could-3d-print-implants
DSPとは、容器の外から超音波を照射し、キャビテーションと呼ばれる現象を利用して中の液体に気泡を発生させ、さらに音波により気泡を振動させることで気泡の温度を約1万5000度まで上昇させ、液体を固化するというものです。
温度の上昇は非常に局所的で、また短時間のみ発生するとのことで、周辺領域に影響を与えることなく実行されるとのこと。超音波照射装置を特定の経路に沿って移動させることで、複雑な3D物体を構築することができるとされています。
研究チームは人間の皮膚に近似した素材や豚の組織を用いて「カエデの葉」「耳」「鼻」の形状を出力することに成功しています。
DSPを用いれば外科的処置を伴わずに体内にインプラントを直接生成できるようになることが期待されています。人体以外にも、機械を解体することなく部品を修理するなど、さまざまな分野への展望が開けているとのことです。
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