汚染された「有機栽培イチゴ」がA型肝炎を引き起こした可能性があるとアメリカとカナダの当局が警告


A型肝炎ウイルス(HAV)に感染することで発症するA型肝炎の患者がアメリカとカナダで相次いで発生した問題について、両国の当局が「汚染された有機栽培イチゴ」が原因になった可能性があると発表しました。アメリカ食品医薬品局(FDA)は消費者に対し、対象のイチゴを購入して冷凍保存している場合は食べずに廃棄するように呼びかけています。

Outbreak Investigation of Hepatitis A Virus: Strawberries (May 2022) | FDA
https://www.fda.gov/food/outbreaks-foodborne-illness/outbreak-investigation-hepatitis-virus-strawberries-may-2022

Contaminated strawberries linked to hepatitis outbreak, FDA says | Live Science
https://www.livescience.com/strawberries-linked-to-hepatitis-outbreak

A型肝炎はHAVに感染することで発症するウイルス性肝炎であり、2~7週間の潜伏期間を経て発熱・下痢・腹痛・嘔吐(おうと)・倦怠感(けんたいかん)・目や皮膚の黄変といった症状を呈します。多くの場合は4~8週間で回復しますが、高齢者ほど重症化しやすい傾向があるほか、まれに劇症化して死亡することもあるとのこと。


アメリカとカナダでは2022年春にA型肝炎の症例が相次いでおり、記事作成時点までにアメリカではカリフォルニア州で15人・ミネソタ州で1人・ノースダコタ州で1人の合計17人が発症し、カナダではアルバータ州で4人、サスカチュワン州で6人の合計10人が発症しました。アメリカでは17人中12人が、カナダでは10人中4人が入院しましたが、いずれの国でも死者は報告されていません。

HAVの主要な感染源は汚染された食物を食べたことによるものであり、今回アメリカとカナダで報告された事例では「汚染された有機栽培イチゴ」が原因となった可能性があると、FDAは報告しています。FDAの調査によると、問題のイチゴはFreshKampoあるいはHEBのブランドで、2022年3月5日~4月25日にかけてAldi・HEB・クローガーセーフウェイSprouts Farmers MarketTrader Joe'sウォルマートWeis MarketsWinCo Foodsなどの小売店で販売されていたとのこと。追跡調査によると、カリフォルニア州・ミネソタ州・カナダの患者たちは、発症する前にこれらの有機栽培イチゴを購入したと報告しているそうです。


汚染されていた可能性があるイチゴはすでに賞味期限切れとなっていますが、もし冷凍保存している場合は、食べずにそのまま廃棄するべきだとFDAは訴えています。また、ブランドや購入時期がわからないイチゴが家にある場合も、念のためそのまま廃棄した方がいいと呼びかけています。

HAVに感染したすべての人がA型肝炎を発症するわけではありませんが、感染から発症まで2~7週間の潜伏期間があるため、その間にワクチンの曝露後接種(PEP)を行うことが推奨されています。なお、過去にHAVの感染歴があったり予防接種を受けたことがあったりする場合は、PEPは必要ないとのことです。

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in , Posted by log1h_ik

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