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「Amazonが妊婦や障害を持つ労働者に合理的配慮を行わずに差別した」とニューヨーク州が告発


アメリカ・ニューヨーク州人権局が、ECサイト大手のAmazonを「妊娠中の労働者や障害を持つ労働者に対し、合理的配慮を拒否する差別を行った」として告発しました。人権局はAmazonに対し、差別的行為の停止や合理的配慮に関する非差別的な方針と慣行の採用を求めると共に、ニューヨーク州への罰金の支払いなどを要求しています。

Governor Hochul Announces Complaint Filed Against Amazon | Governor Kathy Hochul
https://www.governor.ny.gov/news/governor-hochul-announces-complaint-filed-against-amazon


Amazon accused of discrimination in New York
https://www.cnbc.com/2022/05/18/new-york-files-discrimination-complaint-against-amazon.html

New York says Amazon doesn’t accommodate pregnant and disabled workers - The Verge
https://www.theverge.com/2022/5/18/23124882/amazon-pregnant-disabled-workers-complaint-managers-new-york-governor

ニューヨーク州の人権法はすべての雇用主に対し、要求に応じて妊娠や障害といった条件のある労働者に合理的配慮を行い、職務の変更などの対応を取ることを求めています。ところがAmazonは、妊娠中の労働者や障害を持つ労働者が合理的配慮の下で働き続けることを許可せず、無給休暇を取ることを強制するポリシーを持っているとのこと。


Amazonはニューヨーク州内で23の事業所を運営して3万9000人もの労働者を雇っており、労働者に対する合理的配慮を実施するために「配慮コンサルタント」を雇用しています。しかし、Amazonの管理職は配慮コンサルタントによってなされた勧告を拒否することが認められており、結果として労働者への合理的配慮が行われないことがあったと人権局は主張しています。

訴状の中では、妊娠中の労働者が25ポンド(約11.3kg)を超える荷物を持ち上げることを避ける合理的配慮を求め、配慮コンサルタントによって承認されたものの、現場のマネージャーが要求に従うことを拒否したという例が挙げられています。この労働者はその後も重い荷物を持ち上げ続けることを余儀なくされた結果ケガを負いましたが、Amazonは対応を拒否して労働者に「無期限の無給休暇」を取ることを強制したとのこと。

別の事例では、障害によって特定の睡眠スケジュールに従うことが必要となった労働者が医療文書を提出し、配慮コンサルタントが合理的配慮の実施を勧告しました。しかし、現場のマネージャーはすでに当該労働者が別の労働者とシフト交換の話をつけていたにもかかわらず要望を拒否しました。その上、配慮コンサルタントもマネージャーの判断に異議を唱えなかったばかりか、一度は医療文書を受け取っていたにもかかわらず「承認に必要な医療文書がない」として勧告を撤回したそうです。


人権局は、労働者に対して合理的配慮を行わずに無給休暇の取得を強制するAmazonの方針や慣行は、障害などを抱える労働者の雇用条件を低下させるものであり、ニューヨーク州の人権法に違反していると主張。人権局のメリッサ・フランコ執行副局長は、「ニューヨーク州では、障害を持つアメリカ人法が制定されるより前の1970年代から、職場における妊娠中の労働者に対する差別を禁止しています。私たちは州内のすべての人が法律が求める権利と尊厳を十分に享受できるよう取り組んでいきます」とコメントしています。

また、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は声明の中で、「私の政権は、雇用主が労働者に対して相応の尊厳と敬意を持って接しなければ、事業の大小にかかわらず雇用主に責任を負わせます」「ニューヨーク州はアメリカ国内で最も強力な労働者保護規制を持つ州であり、妊娠中の労働者や障害を持つ労働者の保護を最初に導入した州の1つでもあります。労働する男女はニューヨーク州を支える屋台骨であり、私たちは労働者が直面するいかなる不公正にも立ち向かい続けます」と述べました。

人権局の訴状はAmazonに対し、差別的行為の停止や合理的配慮の審査における非差別的なポリシーと慣行の採用、人権法の規定に関する従業員教育、そしてニューヨーク州への罰金支払いやペナルティなどを求めています。

Amazonの広報担当者であるケリー・ナンテル氏は海外メディアのCNBCに対し、Amazonは妊娠中の労働者や障害を持つ労働者に「利用可能な最良の配慮」を提供するよう努めていると主張。「私たちはこの件に関して、知事の調査官と協力して緊密に作業してきましたが、告発されるという兆候がなかったので驚いています。私たちはまだ訴状を受け取っていないので、これ以上コメントする立場にありませんと述べました。

by Scott Lewis

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in メモ, Posted by log1h_ik

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