ハードウェア

フィルター不要・持ち運び可能・ソーラーパネルでも動く海水淡水化装置がコンペティションで優勝し約1300万円の賞金を獲得


従来であれば高圧ポンプや多量の電力を必要とする海水淡水化装置を手で持ち運べるほどに小型化し、消費電力も10分の1に抑えることに成功した技術に対し、マサチューセッツ工科大学(MIT)起業家精神コンペティションから優勝賞金10万ドル(1300万円)が贈呈されました。

From seawater to drinking water, with the push of a button | MIT News | Massachusetts Institute of Technology
https://news.mit.edu/2022/portable-desalination-drinking-water-0428

Solar-powered desalination device wins MIT $100K competition | MIT News | Massachusetts Institute of Technology
https://news.mit.edu/2022/100k-competition-nona-0516

2021 World Water Day Judges Choice: Creative Communication - Portable Desal. Unit For Hydration - YouTube


新しい海水淡水化装置を開発したのはMITのJongyoon Han氏らのグループです。従来の大型海水淡水化装置は高圧ポンプを必要とし、携帯型であっても逆浸透膜と呼ばれる特殊なフィルターを複数必要とするものだったのですが、Han氏らが開発した装置は電力を利用して海水から塩分やバクテリアなどを除去するもので、交換用フィルターの必要性が排除されています。

チームの一員、Junghyo Yoon氏が持っている以下のケースが新型の海水淡水化装置。


中には脱塩モジュール、コントローラー、ポンプが入っています。


脱塩モジュールの中ではHan氏らが10年以上前に開発したというIon Concentration Polarization(ICP:イオン濃度分極)プロセスが行われ、内部の膜に電界をかけ、水に含まれる塩分子やバクテリア、ウイルスなどを除去するとのこと。続けて、電気透析と呼ばれる脱塩処理を行い、飲料水として仕上げています。


このプロセスにおいては1時間当たり0.3リットルの速度で飲料水を生成でき、消費電力も1リットル当たり20Whしか必要としないとのことで、Yoon氏はソーラーパネルを用いて海で実演を行いました。必要なものはソーラーパネルとポータブルバッテリー、装置のみ。


海水を吸入するチューブを投げ込み……


プロセスを開始してから30分もたたないうちに、コップ半分程度の水を精製することに成功しました。


Yoon氏はすぐさま水を飲み、満足げな表情を浮かべました。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1p_kr

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