映画「アバター」シリーズで刷新されたフォントはどのようにデザインされたのか?
全世界の映画興行収入歴代1位に輝いたことで知られるジェームズ・キャメロン監督の映画「アバター」10周年を記念してデザインされ、続編の「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」でも使われるオリジナルフォントのデザインについて、フォントデザイン会社「Swell Type」の創設者でデザイナーのジョン・ロッシェル氏が解説しています。
Yep, I created the new AVATAR font – Swell Type
https://swelltype.com/yep-i-created-the-new-avatar-font/
2018年にロッシェル氏は、キャメロン監督が設立した映画製作会社であるライトストーム・エンターテインメントから、「『今後のプロジェクト』のためのフォントのデザインを手伝ってくれないか」と打診する電話を受けたそうです。
2009年に公開された「アバター」のタイトルと字幕に、Papyrusというフォントが使われました。このPapyrusフォントを使った件については、ライアン・ゴズリングが出演した以下のコントでもネタにされました。
Papyrus - SNL - YouTube
このPapyrusフォントのコントが好きで何度も見返したというロッシェル氏は「実際、Papyrusはかなりかっこいいフォントだと思いますが、『アバター』のタイトルロゴにはしっくりこなかったと認めなければなりません」と述べています。
Papyrusフォントからの脱却はライトストーム・エンターテインメントも考えていたようで、ロッシェル氏は続編では新しいフォントを用意したいと依頼されました。ロッシェル氏はこの依頼を喜んで引き受け、家族に自慢し、6カ月かけてフォントの制作に挑んだそうです。
ロッシェル氏はまず、送られてきた文字のアウトラインをきれいにし、フォントとして見やすくすることから始めました。重複するポイントや不要な部分を削除し、輪郭の凹凸をよりはっきりさせることで、一般的な文字サイズでも見やすくしました。
アルファベットの大文字はロゴとサンプルですぐに決まりましたが、小文字は少し難航したそうで、ロッシェル氏は小文字を大文字の半分程度の大きさにするのか、それとも大文字とほぼ同じ高さのスモールキャピタルにするのか、アンシャル体のようなスタイルにするのかを迷ったとのこと。
ロッシェル氏が試行錯誤しながら書いたデザインが以下。
最終的に大文字・スモールキャピタル・小文字という3種類のデザインに落ち着いたそうです。
また、少しとがったデザインの小文字も考案したそうですが、ちょっとデザインが極端だということで没になったそうです。
そして完成した新しいアバター専用フォントがこれ。スタイルにはLight・Light Smallcaps・Regular・Regular Smallcapsの4種類があるとのこと。
この新しいアバターフォントは、公開から10年を迎えた2019年12月の記念イベントで初披露されたそうです。
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